(※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社による寄稿です。2024年11月のマーケットを振り返り、「1. 概観、2. 景気動向、3. 金融政策、4. 債券、5. 企業業績と株式、6. 為替、7. リート、8. まとめ」のそれぞれについて解説します。

7.リート

<現状>

●グローバルリート市場(米ドルベース)は、米国の景気見通しが改善したことや米国株式が上昇したため、米国主導で上昇しました。また、トランプ氏が大統領選に勝利した直後、長期金利は上昇しましたが、後半には落ち着き、リート市場は堅調に推移しました。S&Pグローバルリート指数のリターンは前月末比+2.6%となりました。一方、円ベースのリターンは、円高がマイナスに寄与し、同+1.2%となりました。

 

●米国は、景気見通しが改善し、上昇しました。欧州やアジアは、長期金利が下げ渋ったことや景気の先行きに対する懸念から軟調な展開となりました。日本は、長期金利の上昇に加え、毎月分配型と推測される投資信託からの売りが続いているという需給要因もあり、下落しました。

 

<見通し>

●グローバルリート市場は、米欧の中央銀行の利下げに伴い長期金利の低下が予想され、借り入れコストが改善することや、米景気の回復により世界景気が底堅く推移し、賃料収入の安定推移が期待できることから、回復基調をたどると予想します。

 

●米国リート市場はFRBによる利下げ継続や景気の回復を背景に上昇基調を予想します。欧州はECBの追加利下げに伴う回復を予想します。アジア・オセアニアは景気の回復や金利の落ち着きが見込まれることから緩やかな上昇を予想します。日本はオフィス賃料の改善を背景に持ち直す見通しです。

 

グローバルリートの推移

8.まとめ

【債券】

●米国の長期金利は、FRBによる利下げをある程度織り込んでいるとみられるため、当面もみ合う動きを想定しています。しかし、新政権は関税の引き上げなど経済政策に対し、物価上昇を加速させないような配慮が行われる見込みで、追加利下げとともに長期金利も低下すると予想します。

 

●欧州の長期金利は、景況感の悪化を背景にECBが追加利下げを継続すると想定していることから、緩やかに低下する展開を予想します。

 

●日本の長期金利は、日銀が金融政策の正常化路線を維持していることから、追加利上げが警戒され、やや上昇すると予想します。

 

【株式】

●米国株式市場は、FRBによる利下げが開始され、米景気の再成長期待が高まっていることから上昇相場が続くとみています。電力インフラを含むAI関連投資の拡大、サービス支出を中心に消費が堅調、規制緩和により金融セクターの業績の拡大が見込まれるため、米国株式市場は順調に取引レンジを切り上げる展開を予想しています。

 

●日本株式市場は、衆議院選挙での与党過半数割れを受け、野党との政策協調や来年夏の参院選に向け支持率回復のため経済対策の規模が拡大するとの期待が相場を下支えするとみています。日銀の追加利上げに対する警戒から上値が重いものの、日本企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)改革の動きは変わらず、需給面から企業の自社株買いも期待できるため、徐々にレンジを切り上げる展開を予想します。

 

【為替】

●円の対米ドルレートは、米金利の低下に伴い、緩やかに上昇すると予想します。FRBの利下げ継続と日銀の追加利上げによる日米金利差縮小が円の上昇要因になるとみています。ただし、日銀は連続的な利上げを急がないと見られ、円の上昇余地は限られそうです。

 

●円の対ユーロレートは、ECBによる追加利下げと日銀の追加利上げが意識され、上昇が続く見込みです。

 

●円の対豪ドルレートは、米国の関税政策に対する懸念や日銀の追加利上げが意識され、緩やかに上昇すると見ています。

 

【リート】

●グローバルリート市場は、米欧の中央銀行の利下げに伴い長期金利の低下が予想され、借り入れコストが改善することや、米景気の回復により世界景気が底堅く推移し、賃料収入の安定推移が期待できることから、回復基調をたどると予想します。

 

●米国リート市場はFRBによる利下げ継続や景気の回復を背景に上昇基調を予想します。欧州はECBの追加利下げに伴う回復を予想します。アジア・オセアニアは景気の回復や金利の落ち着きが見込まれることから緩やかな上昇を予想します。日本はオフィス賃料の改善を背景に持ち直す見通しです。

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2024年11月のマーケットの振り返り【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】』を参照)。

 

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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