1.概観
【株式】
11月の主要国の株式市場は、まちまちな展開となりました。米国株式市場は、7‐9月期の企業業績が順調に拡大し、次期トランプ政権の経済政策への期待も高まり、最高値を更新しました。金融株など、これまで相場をけん引してきた大型ハイテク株以外の銘柄も上昇し、相場のすそ野が広がっています。欧州の株式市場は、企業業績は想定以下でしたが、さらなる利下げ期待などから反発しました。日本株式市場では、7‐9月期の製造業の企業業績は、期中に進行した円高の影響から、事前予想を下回り、株価は軟調な展開となりました。ただし、金融セクターは金利上昇や有価証券売却益の増加などから業績、株価ともに好調でした。中国株式市場では、政府の景気刺激策の恩恵を受けるとされる銘柄の個別物色が続きました。半面、恩恵の少ない香港は下落しました。
【債券】
米国の10年国債利回り(長期金利)は、経済刺激策により経済成長率、物価がともに上昇するとの懸念から、トランプ氏当選直後4.4%超まで上昇しましたが、次期財務長官指名後は経済政策運営に対する安心感から低下に転じました。欧州中央銀行(ECB)による12月の理事会での追加利下げ期待と、米長期金利の変動等の綱引きとなり、ドイツの長期金利は下落しました。日本の長期金利は、米長期金利の上昇などの影響を受けて上昇しました。
【為替】
円の対米ドルレートは、大統領選挙直後に米長期金利が大幅に上昇したため、一時156円台まで下落しましたが、中旬以降の値動きは円高方向でした。
【商品】
原油価格は、ウクライナや中東情勢が緊迫化しましたが、需要が不振で、価格の変動は限定的でした。