(※写真はイメージです/PIXTA)

米国の利下げ転換が目前に迫る中、投資家の間でブラジルなどの新興国への投資を見直す動きが広がりつつあります。足元で史上最高値を更新するブラジル株の現状から、海外投資家の資金フロー、ブラジルの金利・為替見通しについて解説します。

※本記事は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が2024年9月2日に配信したレポートを転載したものです。

2024年のレアル相場は軟調な地合いが続く

一方、為替市場では、2024年初からのレアルの対米ドル相場は、ブラジル中銀の利下げを背景に軟調な地合いが続いてきました。レアルの対円相場も8月に入ると、日銀の利上げや米国の景気後退懸念の浮上をきっかけにした円キャリートレードの巻き戻しの影響から、一時は1レアル=25円近辺までレアル安・円高が進みました(図4)。

 

 

 

米国との金利差拡大がレアル相場を下支え

ただし、円キャリートレードの巻き戻しが一巡しつつあることや、ブラジルと米国の金利差が再び拡大基調にあることで、足元のレアル相場は落ち着きを取り戻しています。


ブラジルの2年国債利回りはブラジル中銀による利下げ休止を受けて足元で11%台に上昇している一方、米国ではFRBの利下げを織り込み米2年国債利回りの低下が進みつつあります。この結果、ブラジルと米国の金利差は8%目前まで拡大しており、債券投資の面でのブラジル国債の投資妙味が再び高まりつつあります(図5)。

 

 

 

市場は対米ドルでのレアル相場の回復を見込む

また、2024年初から投機筋はレアル売りの持ち高を拡大させてきましたが、直近でのレアル売りポジションの規模は2019年12月以来の高水準に達しています(図6)。

 

市場では2025年に向けて対米ドルでの緩やかなレアル相場の回復を見込む見方が大勢となっています(図9)。ブラジルと米国の金利差拡大をきっかけに、レアル売りに偏った投機筋のポジション解消が進められる場合には、レアル相場の回復が後押しされる可能性があります。

 

 

 

 


 

和泉 祐一

フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社

シニア リサーチアナリスト

 

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