(※写真はイメージです/PIXTA)

8月上旬にかけて、米国株をはじめ世界の株式市場は軒並み全面安の展開となりました。世界的な市場の混乱の背景を整理しつつ、当面の米国株の注目点やリスクについて解説します。

※本記事は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が2024年8月20日に配信したレポートを転載したものです。

〈〈元のレポートはコチラ〉〉

世界的にリスク回避が広がった株式市場

2024年7月下旬から8月上旬にかけては、米国株をはじめ世界の株式市場は軒並み全面安の展開となりました。図1で足元の世界的なリスク回避の広がりの背景を整理してみると、以下に挙げる3つ要因から市場の混乱がもたらされたと考えることができます。

 

 
 

円キャリートレードの巻き戻しにより日本株が急落

第一に、日銀の利上げをきっかけにした円キャリートレードの巻き戻しの影響が挙げられます。

 

円キャリートレードとは相対的に金利が低い円建てで資金を借り入れ、高金利の通貨で運用する投資手法で、一部の運用資金は債券だけでなく米ハイテク株などにも向けられてきたと言われています。8月上旬にかけての円キャリートレードの巻き戻しは、急速な円高と株安が連鎖した日本株の急落をもたらしただけでなく、世界的な投資家心理の悪化にも影響を及ぼしたと考えられます。

 

もっとも、①8月7日に日銀の内田副総裁が今後の利上げへのハト派的な慎重姿勢を示したことや、②最新の投機筋の円先物ポジション(図2)において円キャリートレードの巻き戻しが概ね一巡しつつあることが示されたこと(8月13日時点の投機筋の円先物ポジションは2021年3月以来の円の買い越しに転換)などから、日本株や米ドル円相場を巡る市場環境は落ち着きを取り戻し始めています。

 

 
次ページ米国の景気後退への懸念が浮上

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