ブラジル中銀は2024年6月以降、利下げを休止
一方、ブラジルでは、主要国に先行して利下げが進められてきましたが、2024年6月のブラジル中銀の金融政策委員会(COPOM)において利下げの停止が決定されて以降、政策金利は10.50%で据え置かれ続けています。
ブラジルの7月の拡大消費者物価指数(IPCA)が前年比+4.5%へ上昇したほか、先行きのインフレ見通しも当面はインフレ目標の中心(3%)よりも上振れる傾向が続くと見込まれており、ブラジル中銀は利下げに対して慎重な姿勢を継続する可能性が高いとみられます(図3)。
市場では2024年内はブラジルの政策金利は10.50%で据え置かれるとの見方が大勢です。2025年には緩やかな利下げ再開が見込まれているものの、実際に利下げが実現するかは今後のインフレ鈍化の進展やブラジル中銀の新体制の行方(2025年1月からガリポロ新総裁が就任予定)を慎重に見守る必要がありそうです。
堅調な業績背景にブラジル株の過熱感は限定的
足元のブラジル株は史上最高値を更新する中でも、株価の過熱感は限定的に留まっています。
ボベスパ指数の一株当たり利益の市場予想では、2024年が前年比+12.5%、2025年が+18.7%と堅調な伸びが見込まれており、足元の株高は企業収益の改善によって正当化されている面があります(図7)。また、ブラジル株の12ヵ月先予想PERは8倍前後の低水準にあり、新興国株の中でも相対的な割安感が残されています(図8)。