税務調査官「銀行の貸金庫を見せてください」…60代亡夫が仕舞った〈金の延べ棒・現金計2,000万円と“2枚の紙”〉に妻、長男涙。家族も知らないのに税務署が嗅ぎつける理由【税理士が解説】

税務調査官「銀行の貸金庫を見せてください」…60代亡夫が仕舞った〈金の延べ棒・現金計2,000万円と“2枚の紙”〉に妻、長男涙。家族も知らないのに税務署が嗅ぎつける理由【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

相続発生時、遺族が把握していない財産が後日発覚するケースは少なくありません。特に、貸金庫は相続手続きの中で見落とされがちな財産の一つです。貸金庫は金融機関によって管理されており、税務調査の対象となるため、相続人はその存在と内容を適切に申告する必要があります。本記事ではAさんの事例とともに、貸金庫をめぐる税務調査について、木戸真智子税理士が解説します。※プライバシーのため、実際の事例内容を一部改変しています。

貸金庫を利用していたしっかり者の父

金融機関に長年勤めていたAさんは、仕事柄、貸金庫の利便性を理解しており、自分自身も利用していました。貸金庫だからといって、お金だけを預けるのではなく、大事なものを預けるという意味では契約書、権利書、貴重品……なかには、思い出の品も預けることがあります。自宅で保管という方法もありますが、万が一、自宅が火災などになってしまっても守れますし、認知症対策としても有効です。

 

こうしたうメリットを知っていたので、Aさんは昇進をして、少し余裕が出てきたころから、個人的に貸金庫を利用していました。それは、金融機関を定年退職したあとも変わらず続けてきたことです。

 

何事もきっちり管理したいAさん。家計はAさんが預かって、管理していました。エクセルに毎年の財産状況などもまとめて、5年後、10年後のシミュレーションをするのも苦ではありませんでした。そんなしっかり者のAさんはもちろん家族からも頼られており、「お父さんに任せておけば安心」と、家族もみんなAさんに任せていたのです。そのため、詳しい内容については特に確認することもありませんでした。

 

死は突然に、思いもよらぬタイミングで

定年退職から数年後、Aさんはまだ60代という若さで帰らぬ人となってしまいました。脳血管疾患による突然死です。既往症もなかったことから家族は想像もしていなかったし、もちろん覚悟もしていなかったので、戸惑うばかりでした。

 

Aさんの妻もショックのあまり泣くことしかできず、子供たちに支えられて、どうにか過ごしました。しかし、どんな悲しいことでも起きてくるのは当面の生活費の問題です。預金口座は当初、凍結されていませんでしたが、しばらくして凍結された通帳も見つかりました。

 

Aさんに生活費の管理を委ねていたため、なににいくら使われていたのか、どの口座から引き落とされていたのか把握しておらず、支払書類やカード明細を確認した結果、不明な点が多数判明し、妻は途方に暮れます。

 

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