プライベートな空間ですよ!…顧問税理士の制止も聞かず、税務調査官が「寝室」に臨場。露わとなった「夫亡き50代主婦の秘密」【税理士が解説】

プライベートな空間ですよ!…顧問税理士の制止も聞かず、税務調査官が「寝室」に臨場。露わとなった「夫亡き50代主婦の秘密」【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

相続税の税務調査が行われた場合、9割近い確率で追徴課税が発生するといわれています。実際の税務調査では、どのようなことを尋ねられ、どのようなことを調べられることで、申告漏れや過少申告などが発覚しているのでしょうか? Aさんのもとへやってきた税務調査の事例をもとに、税理士法人OGUの小串嘉次信税理士が解説します。

税務調査の現場

税務調査当日。午前10時にAさんの屋敷にC税務署の上席調査官を始め3名が来訪した。B税理士も立ち会ってくれている。

 

上席調査官はAさんに、ご主人が癌で亡くなったときの状況や取引を行っていた金融機関などの質問を行い、Aさんはそれに対して適切に回答した。

 

そのうえで上席調査官ら3人は現状確認を行うためにAさんに了解を得て、リビングの引き出しや仏壇周り等を入念に現況調査した。しかし、特に不審な点はなかった。

 

上席調査官は言った「奥さん、2階も確認させていただいてよろしいでしょうか」。

 

Aさんは「2階は私の寝室です。そんなところまで上がられるのですか?」と戸惑いを隠せない。

 

すかさずB税理士も調査官を遮る「寝室はプライベート空間ですよ! そこへの立ち入りは、調査とはいえやり過ぎだと思います」。

 

しかし、上席調査官は「いえ、プライベート空間であっても確認させてください。相続税の調査なのですから。ご協力をお願いします」と押し切った。

 

上席調査官ら3人は、2階のAさんの寝室に臨場した。ひととおり現況を確認して最後に「ベッドの下も確認させてください」と言う。覗き込んだ。そしてそこに大きな紙袋があることを発見した。

 

「奥さん、この紙袋開けてもらっていいですか」上席調査官が言った。

 

Aさんはしばらくの沈黙のあと、しぶしぶと口を開く「……これは、主人が私のために置いていってくれたものです……」。

 

上席調査官は「なにを残してくれたんですか。僕らが開けるわけにはいかないですから、奥さんが開けてくれないと終わりませんよ」と言った。

 

Aさんが観念したように、ゆっくりと紙袋を開けると、その中には、帯封に包まれた現金5,000万円が入っていた。

税務調査の結果

Aさんの説明によると、ご主人は癌の宣告を5年前に受けた後自分の通帳からわけて出金を繰り返して現金をベッドの下に保管するようになったとのことであった。その結果、5,000万円もの大金になったのである。

 

上席調査官は静かに尋ねた「この現金は相続税の申告書に上げてもらわないといけません。この5,000万円は奥さんの取得ということで間違いはないですね?」

 

ボソボソと答えるAさん「ええ、これは主人が私に残してくれたものだから私が取得したということになります。でも相続税は配偶者である私にはかからないのじゃないかしら」。

 

小さな抵抗も虚しく、上席調査官の返答によりAさんは諦めることに。

 

「配偶者の税額軽減は、通常の相続の場合に適用があります。ですが、今回のように財産の隠蔽があった場合には適用されません。我々は奥さんがこの現金の存在を認識しながらも相続税申告をしなかったものと考えています。つまり、相続税の実地調査によって申告上の仮装隠蔽の事実が発覚したことになりますので、その発覚した現金は配偶者の税額軽減の適用は受けられません。少なからず奥さんに相続税が発生します。詳しくはB税理士さんに聞いてみてください」。

 

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