(写真はイメージです/PIXTA)

近年、社会や地球環境の持続可能性への関心が高まっていますが、実際に「サステナビリティ」に関わるキーワードはどれほどの認知度を得ているのでしょうか。また、そうした意識を持って行動している消費者はどれくらいいるのでしょうか。本稿では、ニッセイ基礎研究所の久我尚子氏がサステナビリティに関わる意識と消費行動について解説します。

3―サステナビリティに(も)関わる消費行動~女性やシニアで積極的、価格よりサステナ優先は少数

1|全体の状況~エコバッグ持参やゴミ分別は浸透、価格よりサステナビリティ優先は1割未満

日頃の消費生活におけるサステナビリティに(も)6関わる消費行動について約30の項目をあげて、実施状況をたずねたころ、20~74歳全体で最も多いのは「買い物の時はエコバックを持参するようにしている」(73.8%)であり、次いで「リサイクル可能なゴミを分別して出している」(57.0%)、「洗剤やシャンプーなどは詰め替えできる製品や量り売りのものを買うようにしている」(51.0%)、「長く使える製品を買うようにしている」(45.7%)と4割以上で続く(図表4)。

 

 

一方、「価格が安くても、生産や製造時に人権に問題のある製品は買わないようにしている」(8.0%)や「価格が安くても、地球環境や社会に悪影響のある製品は買わないようにしている」(7.5%)、「価格が多少高くても、環境や社会問題に配慮された製品を買うようにしている」(5.4%)、「価格が多少高くても、環境や社会問題に積極的に取り組む企業の製品を買うようにしている」(4.3%)など、製品購入時に価格よりもサステナビリティを優先する行動は、いずれも1割に満たない。

 

つまり、多くの消費者にエコバッグの持参や詰め替え製品の購入などプラスチックごみが出にくい行動が浸透しつつある一方で、価格よりもサステナビリティを優先して製品を選ぶ消費者はごく少数派である。

 

この背景には、現在のところ、再生素材を用いたことで割高になる製品も多いため、物価高が続き、実質賃金がマイナスを推移する中では(2023年6月の現金給与総額は前年比▲1.6%、厚生労働省「毎月勤労統計」)消費者の低価格志向が高まりがちであること、また、価格を優先したとしても、無駄なモノを買わずにできるだけ必要なモノだけを買う、モノを大切に長く使う、リサイクルするといった行動でも持続可能な社会づくりに貢献できるという側面もあるだろう。

 

なお、約1年半前に実施した調査と比較しても、上位にあがる項目や各項目の選択割合に大きな変化はない。

 


6 サステナビリティに「(も)」としている理由は節約効果もあるためである。

 

2|性年別の状況~女性やシニアで積極的、70~74歳で価格よりサステナビリティ優先が約2割

性年別に見ても、首位は「買い物の時はエコバッグを持参するようにしている」である。

 

男女を比べると、「電気自動車などのエコカーを選んだり、エコドライブを実践している」(男性11.6%、女性8.9%、男性が女性より+2.7%pt)や「新品を買うより、シェアリングサービスを利用する」(同2.8%、同2.0%、同+0.8%pt)を除けば、いずれも女性が男性を上回る。

 

また、男性では「特にしていることはない」(同14.2%、同5.0%、同+9.2%pt)が多い。

 

女性では「外出の際はマイボトルを持参するようにしている」(男性22.1%、女性46.7%、女性が男性を+24.6%pt)や「洗剤やシャンプーなどは詰め替えできる製品や量り売りのものを買うようにしている」(同39.2%、同62.7%、同+23.4%pt)、「買い物の時はエコバックを持参するようにしている」(同62.6%、同84.9%、同+22.3%pt)などで男性を大幅に上回る。

 

一方で、女性でも価格よりもサステナビリティを優先した行動は1割に満たない。

 

つまり、女性の方が男性よりサステナビリティを意識した消費生活を送っており、前節で女性では日常生活に関わるサステナビリティについてのキーワードの認知度が高い傾向一致する。

 

ただし、現在のところ、女性でも価格よりもサステナビリティを優先して製品を買う消費者はごく僅かである。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年9月15日に公開したレポートを転載したものです。

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