「ヤングケアラー」が広く認知されているワケ
ところで、「ヤングケアラー」は「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども」を意味する。
厚生労働省は令和4年度から3年間を集中取組期間として「ヤングケアラー支援体制強化事業」を創設し、ヤングケアラーの早期発見や実態把握、相談員の配置やオンラインサロンの設置などの支援策を強化している。
「ヤングケアラー」について『内容まで知っている』割合が約9割を占めて高い背景には、昨年来、政策が報道等で取り上げられる機会が増えていること、また、実は現在、中学2生の17人に1人、高校2年生の24人に1人がヤングケアラーである3という身近な状況も影響しているのだろう。
約1年半前に実施した調査と比較可能なものについて見ると、『聞いたことがある』割合は「カーボンニュートラル」(+5.1%pt)や「児童労働・強制労働」(+3.9%pt)で上昇している一方、「ワ―ケーション」(▲9.0%pt)で大幅に低下している。
また、調査対象の約3分の1のキーワードで僅かに低下している。『内容まで知っている』割合は「児童労働・強制労働」(+6.9%pt)や「カーボンニュートラル」(+5.3%pt)、「再生可能エネルギー」(3.8%pt)、「SDGS」(+3.3%pt)で上昇しているほか、大半で僅かながら上昇している。一方、「内容まで知っているものはない」(▲19.2%pt)は大幅に低下している。
今回と約1年半前の調査対象は必ずしも一致していないために僅かな差についての議論は難しいが、例えば、5月に新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げられて以降、消費者意識が外へ向かうことで内省的な意識がやや弱まり、サステナビリティについての関心が僅かながら弱まりつつも、内容についての理解は全体的に深まっているという見方もできるだろう。
3 三菱UFJリサーチ&コンサルティング「ヤングケアラーの実態に関する調査研究報告書(令和2年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業)」によると、家族の世話をしていると回答した中学2年生は5.7%、全日制高校2年生は4.1%。
2|性年代別の状況~男性は企業活動、女性は日常生活に関わる事柄、Z世代よりシニアで認知度高い
属性別に『聞いたことがある』割合を見ても、いずれも首位は「SDGs」であり、上位は同様のものがあがる(図表2)。
男女を比べると、男性では「デジタルトランスフォーメーション(DX)」(男性24.1%、女性11.7%、男性が女性より+12.4%pt)や「コーポレートガバナンス」(同22.2%、同10.6%、同+11.6%pt)などで女性を上回る。一方、女性では「ヤングケアラー」(男性30.3%、女性54.5%、女性が男性より+24.2%pt)や「フードロス」(同40.6%、同57.3%、同+16.6%pt)、「健康寿命」(同40.2%、同50.4%、同+10.2%pt)などで男性を回る。
つまり、男性では企業活動に関わるキーワード、女性では日常生活に関わるキーワードの認知度が高い傾向がある(調査対象者の就業率は男性79.6%、女性55.2%)。
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