年齢から分析する「サステナビリティ」への理解度
年代による違いを見ると、全体的に年齢が高いほど認知度は上がり、60歳以上では「健康寿命」や「地方創生」、「再生可能エネルギー」、「ヤングケアラー」、「コンプライアンス(法令遵守)」、「カーボンニュートラル」、「マイクロプラスチック」、「フードロス」、「児童労働・強制労働」、「ダイバーシティ」などで20・30歳代を大幅に上回る。
一方、20・30歳代では「知っているものはない」が2割超を占める(20歳代:22.6%、30歳代:22.8%)。なお、30歳代の認知度が最下位のキーワードが多いが、「LGBTQ+」と「フェムテック」は70~74歳が最下位である。
ところで、よく世間では「Z世代はサステナブル意識や社会貢献意識が高い」と言われるようだが、調査結果を見ると、年齢が高いほどサステナビリティに関わるキーワードを理解している。
これは前稿4で指摘した通り、「昔の若者と比べればZ世代を含む今の若者はサステナブル意識が高いが、現時点を比べれば年齢が高いほどサステナブル意識は高い」という理解が妥当である。
現時点においては、人生経験が長く、社会課題等について幅広い知識を蓄えていると見られる高齢者の方が、サステナビリティについての理解も進んでいるようだ。
なお、『内容まで知っている』割合について見ても同様の傾向がある(図表略)。
4 久我尚子「サステナビリティに関する意識と消費行動 -意識はシニア層ほど高いが、Z世代の一部には行動に積極な層も」、ニッセイ基礎レポート(2022/5/31)
3|職業や世帯年収別の状況~職業は性年代の特徴による影響、世帯年収が高いほど認知度高い
職業による違いについては、その職業の性年代分布による影響が大きく、男性の多い「民間正規」では「デジタルトランスフォーメーション(DX)」などの企業活動に関わるキーワード、女性の多い「無職・その他」や「民間非正規(パート等)」では「ヤングケアラー」などの日常生活に関わるキーワード、高齢層の多い「無職・その他」では「健康寿命」や「フードロス」などを中心に認知度が高い傾向がある(図表3)。
また、世帯年収については、全体的に高年収ほど認知度は上がる傾向がある。これは前稿で示した通り5、経済的な余裕があるほどサステナビリティに関わる意識は高く、取り組みにも相対的に積極的であることよるものだろう。
なお、意識面の詳細については、あらためて次稿で分析予定である。
5 久我尚子「サステナビリティに関する意識と消費行動(2)-経済的なゆとり、人生の充足感があるほど積極的」、ニッセイ基礎レポート(2022/6/8)
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