(写真はイメージです/PIXTA)

近年、社会や地球環境の持続可能性への関心が高まっていますが、実際に「サステナビリティ」に関わるキーワードはどれほどの認知度を得ているのでしょうか。また、そうした意識を持って行動している消費者はどれくらいいるのでしょうか。本稿では、ニッセイ基礎研究所の久我尚子氏がサステナビリティに関わる意識と消費行動について解説します。

年齢から分析する「サステナビリティに(も)」関わる消費行動の心理

年代による違いを見ると、全体的に年齢が高いほど選択割合は上がり、20・30歳代では「特にしていることはない」が約2割を占める(20歳代:19.8%、30歳代:16.1%)。

 

また、60歳以上では「リサイクル可能なゴミを分別して出している」や「洗剤やシャンプーなどは詰め替えできる製品や量り売りのものを買うようにしている」、「長く使える製品を買うようにしている」、「地元の食材を買うようにしている」、「節電や省エネルギー効果の高い家電製品を買うようにしている」などで20・30歳代を大幅に上回る。

 

なお、価格よりもサステナビリティを優先した行動は高年齢ほど多い傾向があり、全体では1割に満たないが、70~74歳では「安価でも生産時に人権問題のある製品は買わない」(19.5%、全体より+11.4%pt)と「安価でも社会環境に悪影響のある製品は買わない」(17.7%、同+10.2%pt)で約2割を占めて全体を1割以上、上回る。

 

よって、前節と同様、Z世代などの若者よりもシニアの方がサステナビリティを意識した消費生活を送っている。

 

ただし、当調査で調査対象とした70~74歳はインターネット調査のモニターであるため、同年代の中でITリテラシーが高く、世の中への興味関心も高い層が多く含まれている可能性をある程度、考慮する必要があるだろう。

 

なお、総務省「令和4年通信利用動向調査」によると、70~74歳の過去1年間でインターネットを利用したことのある割合は69.1%、また、過去1年間にインターネットで利用した内容で半数を超えるのは「電子メールの送受信」(72.0%)、「情報検索(天気情報、ニュースサイト、地図・交通情報などの利用)」(65.6%)、「SNS(無料通話機能を含む)の利用」(60.1%)にとどまる。

 

一方、選択割合は5%前後で低いものの、「新品を買うより、中古品を買う」(20歳代6.7%、30歳代7.1%)や「新品を買うより、シェアリングサービスを利用する」(20歳代3.9%、30歳代2.9%)などの二次流通品やシェアリングサービスの利用については、高年齢層よりもデジタルネイティブ世代である若い年代の方がやや多くなっている。

 

3|職業・世帯年収別の状況~職業は性年代の特徴による影響、高年収層でサステナ優先が若干高め

職業や世帯年収別に見ても、首位は「買い物の時はエコバッグを持参するようにしている」である。

 

職業による違いについては、サステナビリティに(も)関わる消費行動と同様、その職業の性年代分布による影響が大きく、男性の多い「民間正規」では全体的に割合が低く、女性や高齢層の多い「無職・その他」や「民間非正規(パート等)」ではマイボトルやエコバッグの持参、詰め替え製品の購入をはじめ全体的に割合が高い傾向がある(図表5)。

 

また、世帯年収については、サステナビリティに(も)関わる消費行動ほど大きな違いは見られないが、「節電や省エネルギー効果の高い家電製品を買うようにしている」や「外出の際はマイボトルを持参するようにしている」、「フェアトレード製品を買うようにしている」は世帯年収800万円以上で多い傾向がある。

 

なお、価格よりもサステナビリティを優先した行動は高年収ほど多い傾向があるが、世帯年収1,000万円以上でも「価格が多少高くても、環境や社会問題に積極的に取り組む企業の製品を買うようにしている」(9.8%、全体より+5.5%pt)は1割程度である。

 

 

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次ページ4―現在のところ、価格よりサステナビリティ優先の消費者は少数派、企業等は丁寧な属性把握が必要

※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年9月15日に公開したレポートを転載したものです。

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