(写真はイメージです/PIXTA)

近年、社会や地球環境の持続可能性への関心が高まっていますが、実際に「サステナビリティ」に関わるキーワードはどれほどの認知度を得ているのでしょうか。また、そうした意識を持って行動している消費者はどれくらいいるのでしょうか。本稿では、ニッセイ基礎研究所の久我尚子氏がサステナビリティに関わる意識と消費行動について解説します。

1―はじめに~近年、高まるサステナビリティに関する意識、その実態は?

近年、社会や地球環境の持続可能性への関心が高まっている。

 

2021年6月のCGコード改訂以降、上場企業1にはサステナビリティについての基本方針や自社の取組みの開示が求められるようになり、企業活動においてサステナビリティに取り組まないことは、もはやリスクとも成り得る状況だ。

 

また、一般消費者においても、買い物時のエコバッグの持参は浸透し、商品選択の際にプラスチックごみが出にくいものを選ぶことも増えているようだ。

 

このような中、昨年からニッセイ基礎研究所では消費者のサステナビリティに関わる意識についての調査を実施している。本稿では2023年8月に実施した調査2を中心に、比較可能なものについては過去の調査と対比しながら、消費者の現状を捉えていく。

 


1 この改訂によって2022年4月以降、東京証券取引所の4つの市場区分(東証1部・2部・マザーズ・ジャスダック)から新たな3つの市場区分(プライム・スタンダード・グロース)へと見直されている。

2 「生活に関する調査」、調査時期は2023年8月17日~23日、調査対象は全国に住む20~74歳、インターネット調査、株式会社マクロミルモニターを利用、有効回答2,550

2―サステナビリティについてのキーワードの認知状況~SDGsが首位、Z世代よりシニアで認知度高い

1|全体の状況~1位「SDGs」70.0%、2位「再生可能エネルギー」56.7%だが、内容まで理解は半数以下

調査では、サステナビリティに関わる約40のキーワードをあげて、『聞いたことがある』ものをたずねたところ、20~74歳全体で最も多いのは「SDGs」(70.0%)であり、次いで「再生可能エネルギー」(56.7%)、「フードロス」(49.0%)、「カーボンニュートラル」(48.5%)、「健康寿命」(45.3%)、「ヤングケアラー」(42.4%)と4割以上で続く(図表1)。

 

なお、「聞いたことがあるものはない」は14.0%を占める。

 

 

『内容まで知っている』ものについても同様に「フードロス」(43.2%)や「SDGs」(43.0%)などが上位にあがり、約4割を占める。なお、「内容まで知っているものはない」は21.0%を占める。

 

つまり、内容まで十分に理解されているキーワードは半数に満たないものの、「SDGs」は実に7割、「再生可能エネルギー」は6割の消費者が耳にするようになり、サステナビリティに関わる事柄は、めずらしいものではなくなっている。

 

また、「コンプライアンス(法令遵守)」などの企業活動に関わるキーワードと比べて、「フードロス」や「健康寿命」などの生活に関わるものの方が理解は浸透しているようだ(調査対象者の就業率は67.4%)。

 

さらに、『聞いたことがある』もののうち『内容まで知っている』との回答が占める割合について見ると、「ヤングケアラー」(88.6%)や「フードロス」(88.2%)は約9割を占めて高く、これらのほか「健康寿命」(76.8%)や「LGBTQ+」(76.6%)、「3R(Reduce、Reuse、Recycle)/4R(3R+Refuse)」(76.4%)、「コンプライアンス(法令遵守)」(76.1%)、「マイクロプラスチック」(75.0%)、「児童労働・強制労働」(73.8%)が7割以上を占めて高い。

 

これらのキーワードは生活との関わりが比較的強いために、耳にしたことがあれば内容の理解も進んでいるのだろう。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年9月15日に公開したレポートを転載したものです。

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