(※写真はイメージです/PIXTA)

1970年代に世界経済を襲った2度のオイル・ショック。当時、スイス・キャピタル・インターナショナルのアナリスト兼ファンドアドバイザーとして活躍した伝説の投資家・澤上篤人氏と、バブル崩壊時、中小型株を買い付け、投資家としての才を発揮した渡部清二氏。現役で活躍する両者が、自身が考える「有効な株の買い方」について対談形式で紹介します。

バブル期真っ只中に野村証券入社、翌年バブルがまさかの崩壊

渡部 恐らくは、私が長期投資について深く考えるようになったのは、私の野村證券への入社年度が非常に関係していると思うんです。私は1990年の入社で、内定が1989年なんですよ。

 

澤上 バブル(※)のピークだね。

 

(※)バブル期は一般的に、1986年11月~1991年2月~5月頃までと言われている

 

渡部 ピークなんですよ。一番景気が良くて、一番給料がいいというところで証券界に入ってしまった。ところが入ったあとすぐにバブルが弾け、結局そこから20年間で日経平均は8割下がっていったんですよ。

 

その(かん)に何を見たかというと、山一證券が潰れ、日本長期信用銀行が潰れた姿。いわゆる“安全”といわれていたものがなくなり、代わりにファーストリテイリングが出てきてソフトバンクが出てきてニトリが出てきて、これらの株価がみんな100倍以上、上がった。私はこれを実際に体験しています。

 

ですから、私の少し上の先輩は、どちらかというと大型の優良株ばかりを勧め、中小型株みたいなのは駄目だという言い方をする。でも、私はまったく逆で、この体験から、新興企業で、先々いい会社は大きく伸びるという考えが、もう実務として身についている。それが我々の世代の特徴です。

【長期投資の鉄則】株価の大暴落期こそ、儲けるチャンス

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

澤上 俺が投資運用の業界に入ったのは1970年の頭だから、ニクソン・ショックも体験した。今回のインフレは、40年、50年ぶりにようやくきたかという感じ。

 

渡部 その体験は、ぜひ聞いてみたいですね。

 

澤上 面白いねえ。いつ、どこに入ったかで考え方は変わってくる。たまたま渡部さんは、野村證券に入って、自分はキャピタルグループのヨーロッパ本部(スイス・キャピタル・インターナショナル)、長期投資の権化みたいなところに入った。だから俺は業界に入った時から、長期投資なんよ。

 

それでもニクソン・ショックの時には、「ぶええっ! 大変なことになったな」と言ったら、先輩たちは平気な顔をして、いろいろな株を買っていたのね。

 

その時には、俺も、「なんでこんな時に株を買えるのか?」と思っていたけれども、結局、キャピタルはすごく儲かったという結果が出ている。

 

だから、もう第一次、第二次石油ショックなんかは俺も平気なもので、「買えばいいだろう。儲かるだろう」と買った。もちろん、それ以前に、しっかりとリサーチをしておいて、こういう時があったらこれとこれを買うぞと、だいたい決めとくわけね。その買い銘柄リストを常にブラッシュアップしとけばいいのよ。本当に長期で持てる、いけるという確信があるものを選んでおいて、大きなショック安があったら買いに出るわけ。

 

ニクソン・ショックで、マスコミ的に見たら大変な事態になっているのに、みんなが「なんで、この人たちは、こんなに暴落している時に株を買っているのか理解できない」と思っている真っ最中に、先輩たちは平静そのもので買っていた。俺は、そういうのを見て、そっからスタートしているから、長期投資が身に()みついている。

 

注目のセミナー情報

【海外不動産】7月20日(土)開催
海外不動産の投資手法をアップデート!
日本国内の銀行融資を活用した
最新・ベトナム不動産投資戦略

 

【税金】7月23日(火)開催
「富裕層を熟知した税理士」が教える
2024年最新【所得税×インフレ】対策
~今後の手残りが3割変わる!?「所得税対策」~

次ページインフレ時に株を選ぶコツ

※本記事は、澤上篤人氏・渡部清二氏の著書『本物の長期投資でいこう! 40年に一度の大チャンスがやってくる』(かや書房)より一部抜粋してお届けしています。

本物の長期投資でいこう! 40年に一度の大チャンスがやってくる

本物の長期投資でいこう! 40年に一度の大チャンスがやってくる

渡部 清二 澤上 篤人

かや書房

「方法論よりも理念を語りたい。自分の好きな個別株に命をかけろと話したい」(序章より) 40年にわたる金融政策の末、ついにやって来るインフレと大暴落。そんな世界的な危機に対して、「さわかみ投信」創業者 澤上篤人と…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録