かつてスイス・キャピタル・インターナショナルで活躍したプロ投資家の澤上篤人氏は、「日本人が“世界”でも図抜けている」特徴を活かした「生活者投資家」という概念が、少子高齢化により縮小が懸念される日本経済に一石を投じると提言しています。本記事では澤上篤人氏と渡部清二氏の対談形式で詳しく解説します。
日本経済をダイナミックにする「生活者投資家」の概念
渡部 澤上さんは「生活者投資家」という概念を提唱されていますね。
澤上 日本経済をダイナミックにするためには必要で、外国にはないけれども日本だったらやれそうなの。それがまた、日本株投資の面白さの一つでもあるわけ。
渡部 あらためて「生活者投資家」という概念について、お話をお聞きしたいのですが。
澤上 まったく新しい概念で、我々は「生活者投資家」を増やしていく方向で頑張っているわけ。「生活者投資家」という経済主体は、機関投資家に対するカウンターとして必要だと思っている。
要するに、ある企業の製品が好きなファンが株を持ち、その会社を株主としても応援していくという考え方。その人たちは、現在自分が好きな、その会社の経営が変わり、つまらない製品が出るようになると困ると思っているはず。それは、自分の好きな製品が買えなくなるから。
その意味では、生活防衛でもあるわけ。自分の生活を守るために、機関投資家からの短期利益指向から、その会社を守り、応援していくのよ。
渡部 日本人は、アメリカがどうのと口では言っていても、結局、日本が好きですし、自分の地元も愛していますから、生活者投資家が増える可能性はありますよね。
日本人の「優しさ」と「共同体意識の高さ」で企業を応援する
澤上 それもあるし、もっと根本的なのは、日本人の優しさと共同体意識の高さ。この2つがベースにあるからこそ、生活者から見てずっと頑張ってもらいたい企業を、売上に貢献したり株主となったりして、10年20年と応援していける。それでもって、生活者に優しい潤いのある社会を応援企業と一緒につくっていける。
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公益財団法人 お金をまわそう基金
代表理事
https://okane-kikin.org/
株式会社さわかみホールディングス 代表取締役
1970年から74年までスイス・キャピタル・インターナショナルにてアナリスト兼ファンドアドバイザー。
その後、80年から96年までピクテ・ジャパン代表を務める。
96年にさわかみ投資顧問を設立し、99年には日本初の独立系投資信託会社である「さわかみ投信株式会社」を設立。販売会社を介さない直販にこだわり、長期保有型の本格派投信「さわかみファンド」を運営している。日本における長期運用のパイオニアとして熱い支持を集めている。
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連載キャリア40年の投資賢者と、四季報読破25年の達人が対談形式で明かす、長期投資のすすめ
複眼経済塾
代表取締役塾長
1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券入社。個人投資家向け資産コンサルティングに10年、機関投資家向け日本株セールスに12年携わる。
野村證券本店在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報徹底読破」を開始。2014年の独立後も25年以上継続中で、2022年10月1日には四季報100冊読破。記念月例会を日本の株式取引発祥の地、日本橋兜町ホールで開催。
テレビ・ラジオなどの投資番組に出演多数。
「会社四季報オンライン」でコラム「四季報読破邁進中」を連載。『インベスターZ』の作者、三田紀房氏の公式サイトでは「世界一「四季報」を愛する男」と紹介された。
〈所属団体・資格〉
公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定AFP
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト
神社検定1級、日本酒検定準1級
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