国債のデフォルトが確実な理由
渡部 澤上さんは、国債がデフォルトすると思ったことはありますか?
澤上 ずっと思っている。デフォルトするに決まっているじゃない。
渡部 私たちも住宅ローンがありますが、家もあります。例えば、弊社の塾頭でトルコ出身のアナリスト、エミン・ユルマズは、「日本は1,200兆円も国債を発行できるのがすごい」という言い方をします。「住宅ローンがあるけれども、家があるように、良い悪いは別にして、日本はバランスシートで資産はある。だから国債のデフォルトはない」と言っています。
澤上 あのね、それはスタティック・アナリシス、つまり現状分析では正しいんよ。けれども、もし国債が下がりだして暴落したら、みんな売るよね。国債などを売るという動きに加速がついたら、金利はあっという間に跳ね上がるよ。
渡部 そうですね。
澤上 金利が上がりだすと、それが経済の現場に押し寄せてくるわけよ。すると、ゼロ金利をベースに動いていた金融マーケットや経済活動の多くは、金利上昇の荒波で大混乱に陥る。株価や債券価格が値崩れを始め、企業倒産の続出で、日本経済全体が大きな資産デフレ状態に陥る。つまり、資産勘定は大きく目減りしたのに、借り入れ勘定はまるまる残った状態になる。
90年代に入ってのバブル崩壊で発生した減価、つまり、資産デフレ額は日本経済の2.2倍から3倍に達した。当時、それだけ巨額の資産価値が吹っ飛んだというわけよ。
渡部 これもある意味、取捨選択されていく。現在は価値がないにもかかわらず、値段がついているものの価値が剥げ落ちていくということですね。
国債の暴落で直面する「大混乱」
澤上 日本は世界最大の債権国だから大丈夫と言う人もいるが、実際の数字から言うと、そんなにないんよ。海外債権は300兆円から400兆円。国の借金は、1,200兆円。まず、ここで全然違う。それから個人資産が2,000兆円あるということだが、その中に借金が380兆円。だから、実質は1,600兆円。うち、600兆円ぐらいが生命保険と年金。だから、動かせるお金って意外にないわけ。
渡部 そうですね。
澤上 もっとも、数字で、机上の議論でいうと、何とかなると思うかもしれん。学者は、そっちを言うわけ。我々は経済は生き物だと思っているから。国債などが本当に暴落しだしたら、みんな売る。そしたら、どうするの? 誰が買うの? 買う人がいないんだよ。
渡部 なるほど。
澤上 となると、国はどうやって経済運営をするの? もう既に1,200兆円を超す借金を抱えているうえに、金利上昇で国債発行は難しくなる。金利コストも跳ね上がる。そういった大混乱に直面すると、日本人は慌てて動き出す。意外に、その時には日本人は刹那的に動く。ヤバいよ。
渡部 すると、どうなりますか?
澤上 いま富裕層とかいっている個人などが相当に富を失くすよ。それと、預金を抱え込んでいた高齢者たちも、資産を大きく減らす。
もちろん、お金がすべて消えてなくなるわけではない。富裕層や高齢者たちが失った富は、別の誰かの手に移っていく。
渡部 戦後と同じだ。
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