(写真はイメージです/PIXTA)

23年5月の首都圏中古マンション成約件数は、前年同月比マイナス4.9%となる2,737戸でした。本稿では、ニッセイ基礎研究所の渡邊布味子氏が、踊り場に到達したと考えられる首都圏中古マンション市場について「成約価格」と「新規登録価格」の両面から分析します。

首都圏中古マンションの在庫は過去最高水準に

 

在庫は増加傾向が続いている。2023年5月の中古マンションの在庫件数は約4万5,799戸(前年同月比+23.6%)と過去最高水準で、当月の中古マンションの成約件数の16.7倍になった。

 

ここで、売り出したマンションの成約率を求めてみたい。

 

不動産を売却する場合、売り出しから売買契約までは最短でも2カ月程度の期間が必要となる。当月の成約件数は、すべてが最短で売買が成立したと仮定すると、「成約件数÷2カ月前の新規登録件数」で新規登録したマンションの成約率の最大値2を推定することができる。

 

冒頭の成約件数と同様に、月次の数値のぶれが大きいため12ヶ月移動平均の値を取ると、2023年5月は首都圏で19.5%(前年同月から▲3.7%)となった(図表3)。また、同様に在庫件数全体の成約率は、「月次成約件数÷(2カ月前の在庫件数)」で求めることができ、12ヶ月移動平均は7.3%(前年同月から▲1.5%)となった2。成約率のピークは2021年末ごろであり、以降は徐々に低下している。

 

 

 

実際は売り出しから売買契約締結まで2カ月以上の時間がかかる場合もあるし、同じ都県内でもそれぞれのマンションのグレードや都心までの距離などが異なるため、都県別に値を算出するのはやや乱暴ではある。

 

それでも数値の上では、中古マンション3を売り出した人のうち最短の2カ月程度での成約率は20%程度を下回り、それ以上の長期になると成約率は7%程度を下回ると概算できる。

 

現在マンションを売りに出している人の中には、長期間にわたり売り出しを続けていてもなかなか買い手を見つけることができない人が相当数おり、そのような人は今後も増加すると考える。

 


2 成約件数には、当月登録のマンションと前月の在庫件数に含まれていたマンションが混在し、その内訳は不明である。
 上記の成約率は最大値として求めるものであり、実際の各成約率はこれより下がると考える。
3 新築マンションは築後1年以内で人が居住したことのないマンションであり、購入時が新築でも、売却時は中古となる

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年6月30日に公開したレポートを転載したものです。

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