(※写真はイメージです/PIXTA)

後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』の記事から、一部編集してお届けする本連載。今回は、愛媛相続診断士協会会長である浜田政子氏が監修した記事より、「生前の預金引き出しにおけるトラブルを防ぐ方法」について詳しく解説します。

生前3年以内の財産贈与は相続税の対象になる

被相続人が生前に相続財産を減らし、相続人の相続税負担を減らす方法として生前贈与があります。しかし、被相続人が亡くなる3年以内の生前贈与は相続財産に加算されてしまいます(相続開始前3年以内の贈与加算)。

 

例えば暦年贈与を行い、たとえ家族1人につき1年間で110万円を超えていなくとも、贈与した金額分は相続財産に加えられるので注意しましょう。ただし、相続人とならない方々(知人や友人、配偶者側の親族等)に生前贈与した場合は、相続開始前3年以内の贈与加算の対象外です。

 

そのため、早めに遺産を相続する予定の人へ贈与したり、相続人とならない方々へ贈与したりして、相続税対策を進めておきましょう。

生前に預金を引き出す際に注意すべき2つのポイント

被相続人の生前、本人に代わって預金を引き出す場合、他の家族や税務署へ正当な理由を証明するためには配慮が必要です。

 

被相続人の預金を引き出した理由

被相続人から頼まれて代わりに預金を引き出し、住居の維持・修繕費を支払った、墓地・墓石の購入費用とした等、正当な理由であれば特に問題は無いでしょう。

 

ただし、口約束だけでは納得しない家族がいるかもしれないので、次の点を明確にする必要があります。

 

・請求書の通りに預金額が引き出されていたか

・他に過剰な金額の預金が引き出されていないか

・領収証は保管しているのか

 

被相続人の意思に従い適正な金額を引き出した事実が証明できるよう、請求書・領収証を大切に保管し、通帳に預金残高の記録を残す等、証拠をあげて説明できるよう準備しておきましょう。

 

預金を引き出した時期が生前または亡くなられた直後の場合

被相続人の預金を引き出した時期が本人の生前であっても、本人に頼まれて生活費等の支払いのため出金したならば問題ありません。

 

一方、被相続人が亡くなった直後は、家族間で動揺・混乱する場合も想定されます。うっかり、被相続人の口座がある金融機関へ死亡報告をせず、口座凍結を忘れる場合もあるでしょう。口座凍結は、他の相続人から預金を勝手に引き出されないための措置です。

 

しかし、被相続人の葬儀代・入院治療でかかった医療費の精算等でお金が必要となり、凍結せずに慌てて被相続人の預金を引き出してしまうケースもあります。場合によっては、その行動が税務署から相続財産を減らす目的だったと疑われたり、他の相続人から被相続人の財産を独り占めにしたと疑われたりする恐れがあります。

 

ただし、被相続人が本来支払うはずの医療費、被相続人のための葬儀費用は、相続財産から控除が可能です。

 

支払った医療費・葬儀費用の領収書を保管していれば疑いは晴れますので、領収書等を大切に保管しましょう。

 

被相続人が亡くなった後に預貯金を引き出すことは可能?

「仮払い制度」を利用すれば被相続人の預金の一部が引き出せます。

 

被相続人が死亡した場合、被相続人の口座がある金融機関へ死亡報告をして、その口座の相続手続き完了までの間、口座は凍結されます。

 

以前は、被相続人の葬儀費用等を賄いたい遺族のために、各金融機関の裁量で凍結中の口座の引き出しができるケースもありました。ですが、2019年からは仮払い制度が開始され、1つの金融機関から上限150万円までなら、凍結中の口座でも引き出し可能となっています。

次ページ遺産相続の預金トラブルを防ぐ方法

※本記事は、株式会社サステナブルスタイルが運営する相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』より転載したものです。

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