「認知症」と「成年後見制度」を踏まえた相続対策
「先祖から受け継いだ大切な財産を、次の世代へ確実に引き継ぎたい」と考える人は多いでしょう。その大切な財産を守り続けるためには、相続が発生する前にしっかりとした対策を講じることが非常に重要です。
特に、家族の中に認知症などで成年後見制度を利用している人がいる場合は、通常よりも慎重な配慮が求められることがあります。
今回は、元気なうちに綿密な準備を進められた坪井さん(85歳・仮名)の事例を紹介します。
地主の長男、土地や不動産を含めて「総財産3億円以上」
坪井さんは、地主の長男として生まれ、愛知県内に多くの土地を持っています。現在は賃貸アパートを数棟所有し、不動産賃貸業を営んでいます。定年前には公務員をされていた、とてもきっちりとした真面目な方です。坪井さんの総財産は、土地や不動産を含めて約3億円以上に達すると見込まれています。
そんな坪井さんが、自分が亡くなったあとの相続税のことが気がかりでアドバイスが欲しいと私の事務所を訪れたのは、新緑がまぶしく輝く初夏のことでした。
詳しく伺うと、家族構成は奥様、長男、次男の3人。奥様は現在認知症を患い、成年後見人を立てて財産管理から諸々の手続きすべてを任せていて、施設に入所しているそうです。長男は結婚して、家族とともに坪井さんと同居しており、次男は東京で一人暮らしをしているとのことでした。
「私が亡くなったとき、どれほど相続税がかかるのか心配で。先祖から大切に引き継いできた土地を売らないと、税金が払えないなんてことにはなりたくないのだけれど、長男家族に負担をかけるわけにはいかないしね」
寡黙な坪井さんが、ぽつりぽつりと話してくれました。
「長男家族が一緒に住んで何かと手助けしてくれているから、ほとんどの財産を長男に引き継ぎたいと思っているんだよ。私自身も長男として生まれて、そのように親から財産を引き継いできたしね。昔ながらの考えだということは、重々承知だけどね」
財産の分け方については、明確なプランをお持ちでした。
「妻自身も一人娘で実家から引き継いだ財産があって、私が亡くなっても生活に心配はいらないし。それに、以前から家族に財産の分け方について話をしているから、次男も納得してくれているよ。次男は東京でのびのびやっているから、むしろ家のことを考えなくていいのはありがたいと言っていたよ」
遺言書の有無について尋ねると、「一度、信託銀行から営業があって、検討したのだけれど、家族が財産の分け方について理解してくれているから、改めて書く必要はないかと断ったんだよ」とお答えになりました。
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