(※写真はイメージです/PIXTA)

「遺産相続トラブル」は、誰にでも起こりうる身近な問題です。ドラマの中の話と思いがちですが、現実には家庭内で深刻な争いが生じるケースが少なくありません。特に、不動産が遺産に含まれる場合や遺言書がない場合にトラブルが発生しやすく、相続人同士の対立に発展することも──。この記事では、愛媛相続診断士協会会長の浜田政子氏監修のもと、兄弟姉妹で起きた実際の事例を通じて、相続トラブルの原因や解決策について解説します。

「遺産相続トラブル」は身近に存在している

ドラマなどで、遺産相続をめぐる争いを目にしたことがある方は多いでしょう。こうした遺産相続をめぐるトラブルは、物語の中だけでなく、現実の多くの家庭でも発生しています。

 

その主な原因は、相続人が自分の取り分を有利にしようとする思惑が絡み合い、結果として相続人同士の対立に発展してしまうことです。

 

相続財産には、以下のような種類があります。現金や預貯金は比較的分割しやすい一方で、不動産などの資産は分割が難しいため、トラブルの原因となることが多いです。

 

・不動産……48.1%

 

・現預金……38.6%

 

・有価証券……12.1%

 

・その他……6.5%

 

・借入金……5.3%

 

(2020年10月:MUFG資産形成研究所「退職前後世代が経験した資産承継に関する実態調査」より)

 

このデータから、不動産が相続財産の中で大きな割合を占めていることがわかります。そのため、相続において不動産がトラブルの火種になることは多いのです。

 

さらに、平成28年に家庭裁判所で処理された遺産分割事件を見てみると、認容・調停成立件数のうち、遺産額が1,000万円以下の割合は33%、5,000万円以下になると全体の75%に達しています。このデータは、遺産総額が多くなくても相続人同士で揉めるケースが少なくないことを示しています。

 

また、一般社団法人相続解決支援機構が2022年に実施した調査によると、相続を経験した人のうち「何らかのトラブルを経験したことがある」と回答した人の割合は78.7%となっており、かなり高い確率で相続トラブルが起きていることがわかります。

遺産相続で揉める家族や兄弟姉妹の特徴とその原因

相続の現場では、「うちでは相続トラブルは起きない」「家族や兄弟仲が良いから心配ない」といった思い込みを持つ方が非常に多いです。しかし、こうした油断から事前の相続対策を怠り、結果的に大きなトラブルへと発展するケースが後を絶ちません。

 

○遺産相続で揉める主な要因

 

・遺言書がない

 

・遺産に不動産が含まれている

 

・前婚の子供や認知された子供が相続人になる

 

・遺産の分け方で意見が合わない

 

・相手に連絡しても無視されたり話し合いが進まなかったりする

 

・お互い感情的になって話ができない

 

・相続人の居住地が不明

 

・連絡先を知らない

 

・長期間会っていない

 

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