(※写真はイメージです/PIXTA)

後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』の記事から、一部編集してお届け。今回は、「個人事業主が死亡した場合の事業継承の方法」について詳しく解説します。

死亡した個人事業主の事業継承はどのように可能?

個人事業主とは個人で事業経営をしている方々のことです。事業主が事業経営の途中で亡くなった場合、まず遺族がその事実を市区町村役場等へ報告しなければいけません。次のような流れで手続きを進めていきます。

 

1.個人事業主の死亡を確認

2.個人事業主の死亡を届け出て、廃業の手続きを行う

3.故人の事業を引き継ぐ場合、改めて開業届出等を行う

4.承継手続きの完了

 

個人事業主の死亡届・廃業届等の提出

個人事業主が死亡したとき、市区町村役場への死亡届はもちろん遺族の誰かが故人の事業を引き継ぐ場合でも、所轄の税務署へまずは、廃業届を提出する必要があります。

 

また、遺族の方々は、たとえ亡くなった個人事業主の事業に関係していなくても、法定された期間内に次の届出を済ませる必要があります。

 

・死亡届

・廃業届出

・事業廃止届出

・給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出

※詳しくは後の章にて解説

 

なお、死亡や廃止の報告だけではなく、亡くなった個人事業主の収入に対する確定申告手続きである「準確定申告」も行います。

 

準確定申告は相続人全員が書類に連署・押印するので、相続人間で協力し合う必要があるでしょう。

事業を引き継ぐ場合の手続き

亡くなった個人事業主の事業を引き継ぐ場合、通常の開業手続きを進めていきます。開業届出を提出時に、亡くなった個人事業主の屋号を明記すれば引き継ぎができます。必要な届出は次の通りです。

 

・開業届出

・給与支払事務所等の開設

・移転・廃止の届出

・青色申告承認申請

※詳しくは後の章にて解説

 

故人の使用していた屋号を無理に承継する必要はありませんが、全く異なる屋号を用いると以前より贔屓にしてもらっていた顧客から「別の店になった」と誤解されてしまうおそれがあります。これからも馴染みの顧客を大切にしたいなら、前もって事情を説明するか屋号は変更しない方が無難です。

 

個人事業主が死亡した場合の相続手続きの流れや注意点は?

亡くなった個人事業主の経営が順調だったかどうかで、相続人が進める手続きに影響が出てきます。経営状態のチェックは特に重要で、次のような流れで行います。

 

1.遺言書の有無を確認、相続人の把握

2.個人事業主の財産や経営状態のチェック

3.事業の引き継ぎや単純承認もしくは相続放棄するか等を決める

遺言書の有無や相続人を把握する

まずは亡くなった個人事業主が遺言書を作成しているかどうか確認します。基本的には記載された遺言内容で相続人の遺産分与を進めていきます。

 

ただし、遺言書の内容が例えば「全ての遺産を配偶者へ譲る」というような内容の場合、その他の相続人から遺留分侵害額請求権を行使されるおそれがあります。

 

遺留分とは相続人に最低限保証される遺産取得割合であり、遺言書があっても無視できない権利です。

 

一方、遺言書が無い場合は法定相続人を確定しなければいけません。亡くなった個人事業主の本籍地の市区町村役場で出生から死亡までの戸籍謄本を収集しましょう。

 

配偶者と子供しか法定相続人にならないような場合は不要と考えられることが多いですが、故人に離婚歴があるなら、前妻との間に子供のいるケースもあります。

 

前妻との間の子供には相続権があるため、その存在を知らずに遺産分割してしまうと、後日、分割をやり直す事態も想定されます。

次ページ個人事業主の財産や経営状態を必ず確認

※本記事は、株式会社サステナブルスタイルが運営する相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』より転載したものです。

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