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メディアで「日本企業のPBR1倍割れ」と騒がれるが…

最近、大手メディアでは、「日本企業のPBR1倍割れ」の文字が躍っています。絵で見ると、[図表1]のようなイメージです。

 

[図表1]日米株式の実績PBR(年度:2002年度~)
[図表1]日米株式の実績PBR(年度:2002年度~)

 

確かに、【紫色】で示す日本株のPBRは、「20年前」と比べても「10年前のアベノミクス直前」と比べてもほとんど変わらず、日本株は長期に低迷しているように見えます。

 

「審判」と「グラウンド整備員」がシュートを打とうとしている

そして先日、東京証券取引所は、プライム市場とスタンダード市場に上場する企業を対象に、株価水準を分析して、改善するための具体策を公表するよう要請したそうです。

 

合わせて、金融庁も上場企業に対し、持続的な成長に向けて資本効率の改善を求めるために、コーポレートガバナンス(企業統治)改革を促す新たな行動計画を策定したそうです。

 

これらの動きをサッカーにたとえると、「ストライカー(=株主)が一向にまともなシュートを打たないから(=投資をした企業のリターンを高めようとしないから)、審判(=金融庁)とグラウンド整備員(=東証)が見るに見かねて、ストライカーに代わりシュートを決めよう」としているようなものかもしれません。

 

ストライカーはどうしてきたか

シュートを打たないストライカーは、「仕事をしていない」わけですから、クビになるでしょう。

 

インデックス・ファンドに代表されるパッシブの投資家は「ほとんど仕事をしている」とは言いがたいと筆者は感じます。

 

彼らも「高いリターンを得るため」に投資をしているはずですが(→そう信じたいですが)、彼らはリターンを高めるための努力をほとんど「他人任せ」にし(→アクティブ投資家が担う)、株主としての権利を部分的にしか使っていないと筆者は感じます。

 

たとえば、「生産性の低い企業に、資本も労働も貼り付けている」ということなのか、日本経済にそうした課題があるとしても、そのために全力を出し切ろうとしているとは筆者は感じません。

 

あるいは、「ストライカーがシュートしたくないなら、放っておけば良い」となるかもしれません。

 

しかし、審判とグラウンド整備員は「ゲームが盛り上がるかどうか」で生活が決まります(=誰もが同じ日本経済で仕事をしている)。ですから、ストライカーの代わりでも何でも、とにかくシュートを打ってゲームを盛り上げないと「生きていけない」と感じているのでしょう。大手メディアも声を上げるのも同様の理由からでしょう。

 

では、あらためて、ストライカーとは誰か。それは、投資家ですし、当社も、日本株市場におけるアクティブの投資家です。

 

では、当社を含む、アクティブの投資家は仕事をしてこなかったのでしょうか。また、日本企業は仕事をしてこなかったのでしょうか。

 

今回の調査に従うかぎり、筆者は、日本企業も、日本株市場のアクティブの投資家も、どちらも良い仕事をしてきたと考えています。

 

加えていえば、大手メディアは、たとえば「低ROEだから、低リターンである」とか「低リターンだから、低PBRである」といった誤った解釈や印象を抱かせないように、上手にコミュニケーションする必要があると筆者は感じています。

 

そうした解釈や印象は、投資家を日本株から遠ざけてしまうでしょう。

 

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