中堅BtoB製造業でよくある話
中堅BtoB製造企業の山田営業部長は
「コロナも次のステージに入り、5月には、5類に引き下げられる。ここ3年、展示会などのリアル接点で、新規営業先開拓を控えていたが、いよいよ再開するか!」
「たくさんの名刺を集めて、その後営業をかけていくぞ!」
と意気込んでいました。確かにここ3年ほど営業成績は微減で、課題は新しい取引が始まっていないこと……。
そんなとき、人事部の阪口部長から「いま、アクセルを踏むのはちょっと考える必要があるのでは?」と横槍が入りました。
【人事部長:阪口】
「最近、営業部の残業時間が増えています。コロナ禍で退職者の補充をしなかったこともあり、1人当たりの仕事量が増えているのです。また、展示会出展で土日出勤のうえに、獲得した名刺に以前のように個別でアプローチしたり、アフターフォローしたりすると、通常業務にプラスαの業務が発生し、ちょっとまずいです」
【営業部長:山田】
「イヤイヤ、人員が減っているのはわかるけど、コロナ前はそれでやってきたじゃないか。いったいなにがまずいの? 残業代を出さなければそりゃまずいけど、きちんと残業代も出しているのに」
【人事部長:阪口】
「残業時間が法的に上限を超えます……。働き方改革法ですよ。仮に、名刺を沢山獲得しても、そのまま放置になる可能性すらあります。そろそろデジタル化(名刺管理ツールの導入)が必要なのではないですか? 」
【営業部長:山田】
「デジタル化?」
――困った山田営業部長は、社内のシステム部の長田部長に相談してみました。
【システム部長:長田】
「話はわかりました。これまでは営業が担当者起点で属人的にやっていたことを、デジタルツールを駆使してフォローしたい。それはわかります。ただ、それだけでいいのですか? コロナ中に、テスト的に行ったメルマガとかも、わずかですが反応があったじゃないですか。展示会に出展するのもいいですが、もう少し効率のいい、顧客との出会いを考えられたほうがいいのではないでしょうか?」
【営業部長:山田】
「効率のいい出会いの方法?」
【システム部長:長田】
「個別顧客に電話等でアプローチするのではなく、ホームぺージに見に来てもらう環境を作ってリード獲得する、とかを考えられたほうがいいのではないですか?」
【営業部長:山田】
「うん。じゃ、それやって」
【システム部長:長田】
「山田部長、システム部もコロナ中に人が辞めちゃって、補充していないのは同じです。売上管理の基幹システムの維持管理だけでも手一杯です。要件が定まれば、検討できるかもしれませんが、なにをどうしたいのか営業部門で考えてください。それに、ホームページ自体は、広報部の管轄なので、マーケティングツールや営業ツールとして使うには、彼らにも動いてもらう必要がありますよ」
【営業部長:山田】
「話はわかったけど、うちでやっていたのは、広報のニュースリリースぐらいで、商品情報とかは、営業部で入れ替えていたじゃないか。人事情報やリクルート関係は人事部だし、うちにそんなこといわれても、無理だよ……」
――山田部長は、困ってしまいました……。
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