フェラーリが持つ「2つの顔」とは?
2023年に創業76年になる老舗企業のフェラーリ。2020年には英国Brand Finance Global 500で「世界最強ブランド」の座を獲得し、「決して広告は打たない」「欲しがる客の数よりも1台少なく作る」というフェラーリ独自のビジネス哲学が有名です。
創業者エンツォ・フェラーリが「レースで勝つ」という情熱と夢を託し、いまもなお、その情熱をブランドストーリーに刻み続けています。
フェラーリ社は数多くのスーパーカーを生み出すカーメーカーの顔と、F1世界選手権創設時から参戦を続けるF1コンストラクター(レースチーム)としての顔の、2つの側面を持ちます(2022年のF1世界選手権では惜しくもコンストラクターズランキング2位となりました) 。
企業活動としてのサステナビリティを考慮すると、前者のカーメーカー事業が主力にみえますが、フェラーリブランドの存在価値は間違いなく後者です。自動車を大量生産し、利益を得ることを主目的として創業した会社ではなく、“F1で勝つためのチーム運営と、どのチームよりも速いF1マシンの開発”がフェラーリブランドの最大の存在意義なのです。
F1で勝つためには莫大な資金が必要になるため、スーパーカーの販売利益でその資金を調達しています。フェラーリ社のカーメーカー事業は、F1マシンを開発し1位を獲るために活動している副産物といっても過言ではないわけです(図表参照)。
そうなると、カーメーカー事業には経営資源を割けません。小ロット生産で高利益な車を効率よく販売することが求められるため、クルマを売るための広告宣伝やプロモーション、営業マン等に資源を配分する余裕などないわけです。
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