「卵」は21世紀中「最高値」に…身近なデータで見た経済動向/23年3月版【エコノミストが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『身近なデータで見た経済動向』を転載したものです。

 

3月のトピック

「黒ひょうから虎への日銀総裁交代だが大規模な金融緩和は継続されよう。『足踏み』の日本の景気だが民需中心の緩やかな回復継続を期待。2月生産関連指標の持ち直し具合に注目。身近なデータではWBCの侍ジャパンや貴景勝・綱取りなどの話題に加え、気温から見て桜の開花日が早そうなことに期待」

生産動向は不透明な状況が続く。1月は大きく低下も、2月は中国・春節の反動の影響もあり、上昇の見込み

鉱工業生産指数・1月速報値・前月比は全体15業種のうち自動車工業、生産用機械工業など12業種が低下し▲4.6%と大きく低下した。海外景気の減速と中国の春節が重なり外需が一段と落ち込んだことが主因で、部材供給不足が解消されていないことも下押し圧力となった。

 

2月の中国国家統計局の製造業PMIは52.6となり、前月から2.5ポイントの大幅上昇となった(図表1)。

 

 

新型コロナウイルスの感染が落ち着く中、冷え込んでいた景気が急回復しているもようだ。但し、不動産問題などもあり回復テンポはやがて緩やかになろう。製造工業生産予測指数は2月の前月比は+8.0%と急上昇する見通し、また過去のパターン等で製造工業予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値の先行き試算値最頻値でも前月比+1.3%の上昇になる見込みで、2月のPMIの動きは、生産指数の見通しと整合的だ。

 

先行きの鉱工業生産指数の2月を先行き試算値最頻値前月比(+1.3%)で、3月を製造工業予測指数前月比(+0.7%)で延長すると、1~3月期の前期比は▲3.2%の低下になる。一方、2月分・3月分を製造工業予測指数前月比(+8.0%、+0.7%)で延長すると、1~3月期の前期比は+1.0%の上昇になる。計算上、1~3月期の生産指数前期比は上昇・低下の両方の可能性がありそうだ。世界経済の先行きが見通せるまで、生産動向は不透明な状況が続きそうだ。

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    三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

    旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
    パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
    著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

    著者紹介

    連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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