大関貴景勝の綱取りに期待。さらに夏場所の新横綱優勝も期待。最高気温累計値から見て、桜は景気にプラスか
大相撲初場所の懸賞本数は1,817本、前年同場所比+8.4%と10場所連続で増加となった。コロナ禍で最高水準を更新し、コロナの影響がほぼなかった令和2年の初場所の1,835本に接近した。企業の業績・広告費の底堅さが感じられる数字と言えよう。令和5年初場所は、横綱が休場している照ノ富士1人・大関が貴景勝1人という異例の番付で明治31年(1898年)春場所以来125年ぶりだったが、春場所も同じだ。
初場所3度目の優勝を果たした貴景勝は春場所で2場所連続制覇をすれば横綱昇進が待っている。15日制になって、新横綱の場所で優勝したのは、大鵬、隆の里、貴乃花、稀勢の里、照ノ富士の5人。彼らが横綱に昇進した時期は全て景気拡張局面である。貴景勝の春場所・夏場所の活躍に期待したい。
東京の桜の開花日は2月1日以降の最高気温の合計が600℃になると開花すると言われる。開花日が3月14日と過去最も早かった2020年、2021年の最高気温の累計は各々598.6℃、611.5℃であった。開花日が3月20日であった2022年は最高気温の累計は各々626.6℃である。今年は3月1日までの最高気温の累計は、358.2℃である。過去3年の3月1日までの最高気温の累計と比べると、2年連続観測史上最速となった20年385.8℃、21年の409.9℃よりは低い数字だが、22年の311.1℃より高い。1953年から実施されている気象庁の生物観測調査で、東京の桜の開花の開花日が、平年の3月24日より4日以上早い3月20日以前になった年は昨年までで11回あり、コロナ禍の影響が出た20年を除き、全て景気は拡張局面である(図表12)。
早く春が来ると春物が売れるし、今年は、新型コロナウイルスの第8波が概ね収束傾向にあるとみられ、お花見を自粛する人も少なくなると考えられる。厳しい冬の期間が過ぎて桜の花を愛でると明るい気分になる人々も多いだろう。
(2023年3月2日現在)
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『「卵」は21世紀中「最高値」に…身近なデータで見た経済動向/23年3月版【エコノミストが解説】』を参照)。
宅森 昭吉
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
理事・チーフエコノミスト