「卵」は21世紀中「最高値」に…身近なデータで見た経済動向/23年3月版【エコノミストが解説】

宅森昭吉のエコノミックレポート

「卵」は21世紀中「最高値」に…身近なデータで見た経済動向/23年3月版【エコノミストが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『身近なデータで見た経済動向』を転載したものです。

1月一致CI・基調判断は据え置き。「下方への局面変化」は2月以降の落込み次第、「改善」は早くても6月7日か

1月の景気動向指数・一致CIは前月差下降になるとみられる。速報値からデータが利用可能な8系列では、有効求人倍率が未発表だが、他の7系列では、商業販売額指数・小売業1系列のみが前月差寄与度プラスになりそうだ。これは前年同月比が採用されていて、2022年1月はまん延防止等重点措置が出ていた自粛の反動増という面もある。残りの生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・卸売業、輸出数量指数の6系列が前月差寄与度マイナスであろう。

 

1月景気動向指数による基調判断は、22年11月から3ヵ月連続して景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」になるとみられる。予測通りだと前月差は5ヵ月連続下降、3ヵ月後方移動平均の前月差は4ヵ月連続下降、3ヵ月後方移動平均の前月差もマイナスに転じるという厳しい内容になろう(図表2)。

 

 

但し、7ヵ月後方移動平均・前月差は1標準偏差の▲1.00以上のマイナス幅に届かないとみられるため、事後的に判断される景気の山が、それ以前の数ヵ月にあった可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正されるための「7ヵ月後方移動平均の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1ヵ月、2ヵ月または3ヵ月の累積)が1標準偏差以上、かつ当月の前月差の符号がマイナス」という条件は満たさないと予測される。2月の結果が、判断変更につながるかどうかを決定づけるので注目される。

 

一方、景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」に戻るためには、「原則として3ヵ月以上連続して3ヵ月後方移動平均が上昇し、かつ当月の前月差の符号がプラスになる」ことが必要だ。「改善」に戻る条件を満たすのは、早くて4月の数字がわかる6月7日になろう。

「ESPフォーキャスト調査」2月調査で景気後退説を唱えるエコノミスト1人だが出現。日銀総裁は黒ひょうから虎へ

景気の状況が不透明なので、景気後退説を唱えるエコノミストが「ESPフォーキャスト調査」2月調査で1人出てきたが、景気後退に陥るという見方は少数派だ。20年5月の谷の次の景気転換点(山)はもう過ぎたかどうかを36人に聞いたところ、35人が「過ぎていない」と回答、今後1年以内に山が来る確率の予測平均値は38.1%にとどまっている。「過ぎた」と回答した1人は景気の山を22年8月とし、次の景気の谷はまだ過ぎていないとしている。

 

「足踏み」状態の日本経済だが、政策などが足を引っ張らなければ、個人消費やDX投資などの設備投資を中心とした緩やかな景気回復継続は期待されるとみる。日銀次期総裁候補が、植田和男氏に決まった。日銀総裁の交代で、金融政策が変わることが景気に関して不透明材料であったが、衆参両議院の所信聴取などからみると、黒田総裁のもとで続けられている現行の大規模な金融緩和を継続し2%の物価目標の実現を目指す見込みで継続性が確認できた。また、政府・日銀の共同声明に関しても直ちに見直す必要はないと述べている。金融政策はスムーズに受け継がれそうで、波乱要素になる可能性は小さいだろう。但し、イールドカーブコントロールに関しては、今後修正する可能性があるという考えを述べている。このあたりの動向は要注視だろう。

 

ひと昔前に流行った「動物占い」を日銀総裁に関して行った。なお、動物占いはあくまで一般論。どこまでご本人の性格を当てているかわからないので一応のご参考にしてほしい。黒田東彦・第31代総裁は、速水優・第28代総裁と同じ「黒ひょう」だ。『動物占い・プレミアム』によれば、「黒ひょう」は「メンツやプライドにこだわる。中心になれると嬉しい」というキャラクターだということだ。植田和男氏は「虎」だ。「正直でみんなに慕われるボス。なんでもこなせるけど器用貧乏」だという(図表3)。

 

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