1月の「賃上げ」先行き判断DIは40.3、12月の45.5から低下。1月のコメント数12月11件から49件に増加
今年は大企業では大幅な賃上げを表明する企業は多いが、コスト高などを背景に中堅・中小企業の経営環境は厳しい状況が継続している。23年1月の「賃上げ」現状判断DIは31.3と低水準である。コメント数は22年12月の1件から8件に増えた。1月の「賃上げ」先行き判断DIは40.3だが、12月の45.5から低下した。コメント数は22年12月の11件から49件に増えた。
22年12月の実質賃金は速報値で+0.1%と一時9ヵ月ぶりの若干のプラスになったが、確報値で▲0.6%と9ヵ月連続の減少になった(図表5)。
デフレーターの全国消費者物価指数・持家の帰属家賃を除く総合の前年同月比が+4.8%もあり、名目賃金が+4.1%と4%台でもマイナスになってしまっている。23年1月のデフレーターは前年同月比+5.1%と5%台である。実質賃金が前年同月比でプラスになることは厳しい状況だ。ちなみに23年1月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年同月比+4.2%の上昇である。81年9月の+4.2%以来41年4ヵ月ぶりの高い上昇率となった。なお、「ESPフォーキャスト調査」2月調査で消費者物価指数(生鮮食品除く総合)の前年度比・予測値は22年度+2.89%だが、22年10~12月期の+3.7%がピークで、23年の予測平均値は1~3月期の+2.95%をピークに、7~9月期の+1.82%と2%割れになり、10~12月期は+1.45%に鈍化するという見通しだ。23年度の予測平均値は+1.87%である。
5,463品目の予定だった2月食品価格改定5,528件に膨らむ。鳥インフルエンザやSAFの影響で鶏卵価格上昇
調査対象企業が90社増加した帝国データバンクの「食品主要195社」価格改定動向調査(1月31日時点)によると、22年10月は昨年では最多の7,864品目で値上げが行われた。11月は1,583品目、12月は199品目、23年1月は589品目で値上げが行われた。2月は5,463品目の予定だった。同・調査(2月28日時点)によると実際には2月は5,528件に膨らんだ。3月は3,442件、4月は4,896件で、22年10月には及ばないものの、値上げ品目が増えている。
最近は、これまで安定していた鶏卵の価格が上昇し、21世紀で一番高くなっている(図表6)。
これは鳥インフルエンザの影響や、飼料に混ぜている廃食用油が「SAF」(Sustainable〔持続可能な〕Aviation〔航空〕Fuel〔燃料〕)に使われるため、ウクライナ要因以外にも飼料代の値上がりに結び付いていることなど様々な要因が影響している。エネルギー、穀物以外の物価上昇要因がにわかに出てきている。鳥インフルエンザで大量に殺処分の影響がなくなるには時間がかかりそうで、影響が心配される。