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設備投資(除くソフトウェア)前年同期比+6.3%、前期比+0.3%
設備投資、公共投資は上方修正、民間在庫変動は下方変動。実質GDPは不変か
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22年10~12月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+6.3%と、7~9月期の前年同期比+8.0%から1.7ポイント伸び率が鈍化したが、7四半期連続の増加になった。7~9月期で前年同期比+6.6%の増加だった製造業は、10~12月期では同+5.5%へと1.1ポイント増加率が鈍化した。非製造業は7~9月期で前年同期比+8.8%の増加だったが、10~12月期では同+6.7%の増加と2.1ポイント伸び率が鈍化した。
10~12月期・全産業(金融業・保険業を除くベース)設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の季節調整済み前期比は+0.3%と5四半期連続の増加になった。製造業は+1.1%と2四半期ぶりの増加になった。一方、非製造業は▲0.1%と5四半期ぶりの減少になった。
なお、法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)の季節調整済み前期比は10~12月期+0.5%と5四半期連続の増加になった。製造業は+0.4%と2四半期ぶりの増加、非製造業は+0.5%と3四半期連続の増加になった。
法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)で10~12月期の全産業の前年同期比は+7.7%で7~9月期の+9.8%と比べ2.1ポイント伸び率が鈍化した。資本金別の内訳をみるとまちまちで、資本金10億円以上の大企業では前年同期比は+6.0%の増加と、7~9月期の+1.7%の増加から4.3ポイント改善した。資本金1億円以上10億円未満の前年同期比は+0.1%の増加と、7~9月期の+15.3%の増加から15.2ポイント鈍化した。一方、資本金1,000万円以上1億円未満の中小企業の前年同期比は+17.3%の増加と、7~9月期の前年同期比+22.9%の増加からは5.4ポイント鈍化した。
供給サイドのデータに基づいて算出した10~12月期GDP第1次速報値では、名目の前年同期比は+7.1%と7四半期連続の増加になった。7~9月期の+8.6%の増加から1.5ポイントと鈍化した。一方、法人企業統計では全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は7~9月期から10~12月期にかけ1.7ポイント鈍化した。両者の鈍化率は法人企業統計の方が0.2ポイント大きい。
10~12月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、10~12月期の名目原系列前期比は+1.3%、また供給側推計値の情報を用いた需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+2.7%であると公表されているが、10~12月期法人企業統計調査・全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の原数値ベースの前期比は+3.5%となり、仮置き値より0.6ポイント大きい増加率になった。
12月の特定サービス産業動態統計でソフトウエア開発・プログラム作成の前年同月比が10月・11月に比べ鈍化していることは、ソフトウエア投資の部分の下方修正要因になりそうだ。また、10~12月期の断層補正は大きな変動要因にはならないとみられる。総合的に判断し、10~12月期GDP第2次速報値の実質設備投資は前期比▲0.3%程度と、第1次速報値の同▲0.5%から上方修正されるとみた。
民間在庫変動
22年10~12月期のGDP第1次速報値の名目民間在庫変動・原数値は1兆33億円で21年10~12月期の9,084億円からは949億円の増加であった。22年10~12月期GDP第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.1%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、4項目中プラス寄与は3項目で、大きな方から仕掛品在庫、流通在庫、原材料在庫の順になっている。製品在庫だけがマイナス寄与であるということだ。しかし、22年10~12月期の法人企業統計では、仕掛品在庫、原材料・貯蔵品在庫が前年同期比減少になっている。このため、GDP第2次速報値の名目民間在庫変動は、仮置き値だった仕掛品在庫と原材料在庫がプラス寄与からマイナス寄与に転じる分、下方修正されるとみた。
22年10~12月期GDP・第2次速報値予測
3月9日に発表される22年10~12月期第2次速報値では、本日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資、民間在庫変動、公共投資などを中心に改定される。
22年10~12月期第2次速報値では、実質設備投資は前期比▲0.3%程度と、第1次速報値の同▲0.5%から上方修正になると予測した。一方、実質民間在庫変動・季節調整値・前期比寄与度は仕掛品、原材料を中心に▲0.6%程度と、第1次速報値の▲0.5%から下方修正され▲0.6%程度になるとみた。
また、公共工事出来高の前年比は10~11月分平均が+1.0%だったが、10~12月期の前年同期比は+1.8%と増加率が拡大した。このことからみて第2次速報値での実質公共投資の前期比は第1次速報値の▲0.5%から▲0.1%程度に上方修正されると予測する。
22年10~12月期GDP第2次速報値で、実質GDPは前期比+0.2%、前期比年率+0.6%と予測する。第1次速報値の前期比+0.2%、前期比年率+0.6%と同程度の伸び率になろう。設備投資と公共投資は上方修正要因に、民間在庫変動が下方修正要因になり、相殺するかたちになろう。
(2023年3月2日)
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2023年1月分「鉱工業生産指数・速報値」について【エコノミストが解説】』を参照)。
宅森 昭吉
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
理事・チーフエコノミスト