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先行CI前月差▲0.4と3ヵ月連続下降、一致CI前月差▲3.0と2ヵ月ぶりの下降
景気動向指数・一致CIを使った景気の基調判断は、2ヵ月連続で「足踏み」
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●1月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差▲0.4の下降になった。速報値からデータが利用可能な9系列では、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数の4系列が前月差寄与度プラスに、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列が前月与度マイナスになった。
●1月分の一致CIは前月差▲3.0の下降になった。速報値からデータが利用可能な8系列では、商業販売額指数・小売業1系列が前月差寄与度プラスに、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率、輸出数量指数の7系列が前月差寄与度マイナスである。3ヵ月後方移動平均の前月差は▲1.03と3ヵ月連続マイナス、7ヵ月後方移動平均の前月差は▲0.39と15ヵ月ぶりにマイナスになった
●最近の一致CIを使った景気の基調判断をみると、21年1月分で「上方への局面変化」に上方修正され、2月分では判断が据え置かれた。3月分で景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」に上方修正され、4月分~8月分と「改善」の判断は据え置きになっていたが、9月分では「足踏みを示している」に下方修正され、10月分~22年2月分速報値では「足踏みを示している」の判断が継続となった。しかし、生産・出荷関連データの年間補正などがあった2月分改定値では「改善」に戻るための、「3ヵ月以上連続して、3ヵ月後方移動平均が上昇、かつ当月の前月差の符号がプラス」という条件を満たした。3月分~11月分でも「改善」の判断が継続となったあと、12月分で当時の3ヵ月後方移動平均・前月差・2ヵ月の累計が▲1.30と1標準偏差の▲1.00以上のマイナス幅になり、前月差が▲0.4の下降だったため、「3ヵ月後方移動平均の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1ヵ月、2ヵ月または3ヵ月の累積)が1標準偏差以上、かつ当月の前月差の符号がマイナス」という条件を満たし、「足踏みを示している」に下方修正された。
●今回1月分で景気の基調判断は、2ヵ月連続で、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」になった。前月差は2ヵ月ぶり下降・5ヵ月連続上昇なし、3ヵ月後方移動平均の前月差は3ヵ月連続下降、3ヵ月後方移動平均の前月差がマイナスに転じるという厳しい内容になったが、7月後方移動平均・前月差は▲0.39で1標準偏差の▲1.00以上のマイナス幅に届かなかったため、事後的に判断される景気の山が、それ以前の数ヵ月にあった可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正されるための「7ヵ月後方移動平均の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1ヵ月、2ヵ月または3ヵ月の累積)が1標準偏差以上、かつ当月の前月差の符号がマイナス」という条件を満たさなかった。
●「改善」の判断に戻るためには、「原則として3ヵ月以上連続して、3ヵ月後方移動平均が上昇、かつ当月の一致CIの前月差の符号がプラス」であることが必要だ。逆に、「下方への局面変化」に下方修正されるには、「7ヵ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1ヵ月、2ヵ月または3ヵ月の累積)が1標準偏差以上、かつ当月の前月差の符号がマイナス」であることが必要だ。2月分では3ヵ月「足踏み」になる可能性が大きいと思われる。
●1月分の先行DIは55.6%と景気判断の分岐点の50%を5ヵ月ぶりに上回った。速報値からデータが利用可能な9系列中、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数の5系列がプラス符号に、最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、マネーストック、中小企業売上げ見通しDIの4系列がマイナス符号になった。
●1月分の一致DIは31.3%と景気判断の分岐点の50%を4ヵ月連続下回った。速報値からデータが利用可能な8系列中、商業販売額指数・小売業、有効求人倍率の2系列がプラス符号に、耐久消費財出荷指数1系列が保合いに、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・卸売業、輸出数量指数の6系列がマイナス符号になった。
●3月27日発表予定の1月分景気動向指数・改訂値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は3月16日である。また在庫率関連データが3月16日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。先行DIでの、実質機械受注(製造業)の符号は微妙だがマイナス符号で加わる可能性が大きいと見る。その場合、残りの符号が不変とすれば、先行DIは速報値の55.6%から50.0%に下方修正されると予測する。
●1月分景気動向指数・改訂値で、一致CIに労働投入量指数が加わる。労働投入量指数は、雇用者数(非農林業)と総実労働時間指数(調査産業計)の2つの系列を掛け合わせて作られている。内訳をみると、雇用者数(非農林業)は労働力調査のデータで前月比+0.1%の増加であることが判明している。一方、毎月勤労統計・速報値の総実労働時間指数(調査産業計)は前月比▲0.7%の減少である。したがって労働投入量指数は前月比▲0.6%程度の減少であろう。労働投入量指数の前月差寄与度は現状では▲0.08程度になろう。なお、1月分毎月勤労統計・確報値は4月7日に発表されるため、1月の一致CI改定値では速報値が使われよう。また、生産指数関連データは3月16日発表の確報値段階で、また商業動態統計関連データは3月16日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。1月分の一致DIは速報値で31.3%だったが、新たに加わる労働投入量指数の符号はマイナス符号になるとみられるため、他の採用系列の符号を不変とすると、改定値は27.3%程度に下方修正されると予測される。
●2月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。全ての系列が前月差プラスである。
●また、2月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列では、全ての系列がプラス符号になることが判明している。2月分速報値段階の先行DIは44.4%以上100.0%以下になることが確定している。
(2023年3月8日)
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2023年1月分「景気動向指数(速報値)」【エコノミストが解説】』を参照)。
宅森 昭吉
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
理事・チーフエコノミスト