(※写真はイメージです/PIXTA)

1990年代のバブル崩壊以降の日本企業は、業種・業態や企業ごとの競争力の強弱の差はあれ、大きく変わることが求められてきました。経営コンサルタントの井口嘉則氏が著書『リーダーのための人を動かす語り方』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

歴史上、日本が大きく変革した理由

■「変える」ことよりも「守ること」が好きな日本人

 

人の考えや行動を改めさせるのは難しいですよね。リーダーやそれ以上の役職になる人が直面する一番難しいテーマかと思います。自分が変えなきゃいけないと感じて、自分の意識と行動を変える、これなら自分のことなのでできますが、それを他人にやらせるのは大変です。

 

特に、日本人は、「守ること」は得意ですが、「変えること」は苦手にしています。

 

日本人が「守ること」が得意な例は、茶道や剣道、柔道など「道」が付くものにみられます。茶道でいうと、安土桃山時代に千利休が始めた茶道の精神と作法を守り続けています。千利休も「守破離」という考え方を持っていて、まずは作法を「守」るところから初めて、その後、「破」ったり、「離」れていったりしてもよいとしています。

 

ですから、会社の仕事も、たとえ紙ベースで手間がかかる仕事でも、IT化が遅れて手作業のまま続けているということがあります。それが、最近コロナ禍で、紙とFAXで新規感染者数を集計していて、1日報告が遅れるとか、書き間違い、入力間違いがあった等として、IT化の遅れた日本の恥ずかしい現状を世界中に知らしめる結果となっています。たとえ、紙とFAXで不便でも、変えない方が楽なので、続けているわけです。

 

■歴史上、日本が変わってきたきっかけ

 

ただ、そうした「守ること」が好きで、得意な日本人ですが、歴史上大きく変わってきたことが何回かありました。

 

古くは、飛鳥時代、聖徳太子以来仏教と律令制を取り入れ、中央集権国家づくりを行い、それ以前の神道と豪族支配から大きく変わりました。これは、強大な隣国隋・唐に倣って天皇中心の中央集権国家を作ろうとしたことがきっかけでした。

 

また、平安時代から鎌倉時代にかけて、朝廷・貴族支配から武士の世の中に変わっていきました。これは、貴族から武士への支配層の移行が目的でした。

 

安土桃山時代は、戦国大名の群雄割拠の時代から、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康と3代にわたって、武力による統一国家づくりが行われました。これは、バラバラな国を一つにまとめようとしたことがきっかけでした。おかげで、ポルトガルやスペインによる植民地化を免れました。

 

そして、明治維新では、260年間続いた徳川幕藩体制を倒し、王政復古の名の下に、天皇を頂点とした集権国家に変えました。これは、欧米列強のアジアの植民地化政策を跳ねのけ、独立した国家として、世界の一等国を目指したものでした。

 

最後に一番大きく変わったのは、太平洋戦争後で、敗戦により天皇主権から国民主権の平和主義の世の中となりました。

 

このように、日本は、外的または内的要因によって歴史上大きく変わってきたことがありますから、皆がその気になれば、大きく変えることもできるはずです。

 

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※本連載は井口嘉則氏の著書『リーダーのための人を動かす語り方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再構成したものです。

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