前向きな動機に働きかけ恵行動を起こす
■前向きの動機と後ろ向きの動機
私たち人間を動かす動機には、下表に示すように、「前向きの動機」と「後ろ向きの動機」とがあります。
前向きの動機には、「人から感謝されたい」とか、「何かをして満足したい」とか、「何かを達成したいとか」等のものがあり、何か自分で行動を起こすことで、何がしかのものを得られるという期待感がベースとなっています。
一方で、後ろ向きの動機には、「失敗したくないとか」「叱られたくないとか」「損したくない」等のように、行動するかまたは行動しない結果被る自分にとってマイナスのことを避けたいという気持ちがベースとなっています。
2種類の動機のうちどちらが長続きするかというと、当然前向きの動きです。
後ろ向きの動機は、その動機の元となる要因がなくなるか、取り除けると消えてしまいます。例えば、「失敗したくない」という動機の場合には、それにチャレンジしなければ失敗しなくて済むため、「チャレンジしないこと」と決めてしまえば、その動機はなくなります。
また、「危ないことをしたくない」と思っていれば、危ないことから避けられれば、その動機はなくなります。「叱られたくない」という場合は、叱られるようなことをしなければいいわけです。このため、後ろ向きの動機は、あまり長続きしません。
(図版)
一方前向きの動機は、行動によって得られるものが手に入るまで、例えば、「お客様に満足していただきたい」という動機の場合は、お客様に満足して頂けるまでいろいろなことにチャレンジすることになります。
さらに、一度感謝されて嬉しくなると、もう一度感謝されたいと思い、活動を続けることになります。また、オリンピックでメダルを取りたいというような目標の場合は、メダルが取れるまで、10年も20年も頑張る人がいます。ですから、前向きの動機の方が、長続きします。
ですので、どのみち一回きりの人生を送るのであれば、自分を前向きな動機で、動機づけられた方が、長く頑張ることができます。その頑張ることが、生きがいにもなります。
この前向きの動機によって、得られる期待感を「希望」といいます。
生きていれば何かいいことがある、頑張っていれば報われる、夢を追い求めていれば、いつかは叶う等、そう思えている状態を、「希望がある」とか「希望を持っている」といいます。
もちろん、自分が何をしなくても、外から幸運が訪れることもあります。例えば、自分が住んでいる国が経済発展していれば、特別なことをしなくても自分も豊かになれるのではないかという「希望」が持てます。
また、自分の住んでいる土地が値上がりしていれば、土地の値上がり益で豊かになれるのではないかという「希望」も持てます。また、親が金持ちであれば、行く末はその財産を引き継いで、豊かに暮らせるのではないかという「希望」が持てます。
ただ、すでに成熟経済に入った日本に住んでいる場合は、全体的にいうと、何もしないで希望が持てるということは、少なくなっています。
ですので、希望を持ちたい場合には、前向きな動機に働きかけて、何か行動を起こしていく必要があります。
■人間誰しも未来には希望が必要
未来について語る場合、例えば、「地球温暖化が進み、暑くて住めなくなってしまう」とか、「高齢化が進み、年金がもらえなくなってしまう」とか、「巨大地震が起きて、大津波で、海の下に沈んでしまう」のような悲観的な予測ばかりすると、無力感が出て、何もする気がなくなってしまいます。これでは、未来に向けて人を動かす動機付けにはなりません。
そうではなくて、「温暖化の元となる二酸化炭素などの排出量を大幅に削減し、空気中から二酸化炭素を取り出して、アンモニアなどの他の化学物質に変える等のことに取り組めば、まだ止められる」とか、「高齢化が進んでも、皆が天寿を全うできるような社会保障制度を構築する」とか、「地震で大津波が来ても安全な所に逃げられるようにしておく」等のように考えれば、希望が湧いてきて、そうしたことを進めるための行動を起こそうという気持ちになれます。
ですから我々は、より明るい未来に自分及び他人を動機付けようと思ったら、未来に希望が持てるようなことを語り、共有する必要があります。
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