(※写真はイメージです/PIXTA)

何も起こってなさそうな一日に、何があったのかを思い出していくことで、前頭葉は活発に動かされます。何か思い返せることがあるはずです。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

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日記を書くうえで活用できるのが手帳

■日記を書いてアウトプットする

 

そこで私が、アウトプットとしてお勧めしたいのが日記を書くことです。

 

ただ、先のとおり、現役時代にはインプット中心で書いてきた方は多いでしょうし、ちょっと困ってしまうかもしれませんね。ましてや定年を迎えて、変化の乏しい毎日を過ごしていては、特別書くこともないと思いがちでしょう。

 

「いったい何を書けばいいのか……」

 

そんなお気持ちもよく分かります。ハードルが高いように感じられるかもしれません。

 

ただ、この「書くことが何もない一日」こそ、アウトプットのチャンス。

 

何も起こってなさそうな一日に、何があったのかを思い出していくことで、前頭葉は活発に動かされます。朝起きてから目にしたもの、口にした食事、会った人やそこで交わした言葉、空模様や植物の成長、そこで感じたことなど。1日中、眠っていたわけではないでしょうし、何か思い返せることがあるはずです。

 

「たくさん書かないといけないのでは……」
「拙いことばかり書きそうで恥ずかしい」
「品格のない人間だと思われそうだ」

 

そんなことはありません。

 

日記ですから誰に見せるものでもありません。スタイルも長さも自由ですし、きちんとした文章を書く必要はありません。字が汚くたって構わないのです。何か決められたルールがありません。

 

感情の赴くまま、書きたいことを書きましょう。ちょっと引っかかったような出来事をメモする程度で構いません。

 

「商店街の和菓子店が新しいメニューを出しているみたいだ。今度食べてみたいな」
「今日すれちがった小学生たちのランドセルがカラフルだった。きれいだな」

 

1行で十分です。ポジティブな内容でも、あるいはネガティブな内容でも構わないでしょう。

 

特にポジティブな内容の場合、眠る前に手で書いてみることで幸せな気持ちになります。副交感神経が高まりますから、睡眠の質もよくなります。

 

■手帳は日記をつけ始めるのに最適なツール

 

そして、この日記を書くうえで大いに活用できるのが手帳です。

 

日記をつける際に手帳は非常に便利です。

 

もしも、ちゃんとした日記帳を使うとなると、ページの余白が気になって、ついつい「たくさん書かなければならない」という気持ちに追われてしまいます。

 

また、いずれもそれなりの大きさや厚さがありますから、書き慣れていない方だとちょっと構えてしまうところがあります。「どっこいしょ」と重い腰を上げるように、日記帳を開くのでは、いずれ辞めてしまうことが目に見えています。

 

その点、手帳は比較的小さいですし、書くスペースが限られています。

 

1日1行でも、どんどんとページが進みますから、十分な満足感が得られるはずです。コンパクトタイプや大型タイプなど、サイズもさまざまで、自由度が高いことも良い点です。気軽に開けますから、抵抗感なく、書き進められることでしょう。

 

また余白を残すというのも実はポイントです。

 

日記だけに限りませんが、書いたものを後で読み返すことで気づくことがあります。そのときに、気づきを余白に書き込むことで、内容が頭に刷り込まれていきます。

 

翌日読み返してみて、「そうそう、私はやっぱりこれが好きなんだ」と思い、深めていく趣味もあるでしょう。または「ああ、昨日の自分はこんなことを考えていたのだな」と、少し冷静に思うのであれば、それもまた新しい気づきになります。ホンネを書けば書くほどに、自分との対話が進みます。

 

まずは3日間、続けてみてください。

 

禁煙にも72時間の壁があると言われます。初めは苦しいでしょうけれど、それを乗り越えると、体が楽になっていくといいます。3日続けられれば、意外とその後も続いていくのです。

 

そのまま1週間続けてみて、日記を読み返してみれば、自分自身のことがわかってきます。先ほども述べたとおりで、どんなに拙くたって、誰に見せるものでもありません。そんな自分を楽しみながら続けてみてほしいと思います。

 

日記は続けるほどに面白味が増していくでしょう。

 

「ああ、去年はこんなことをしていたな」
「あのとき行きたかった観光地に、来られて嬉しいな」

 

何年か続けていくと、こういった感想も生まれてきます。

 

和田 秀樹
ルネクリニック東京院 院長

 

 

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※本連載は和田秀樹氏の著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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