なぜ日本にアップルが生まれないか?起業で成功する人と起業しない人の決定的な違い

なぜ日本にアップルが生まれないか?起業で成功する人と起業しない人の決定的な違い
(※写真はイメージです/PIXTA)

トライしない人は、夢を実現することはありません。自分の夢をどこまで実現できるのか、それにトライする人生は、きっと楽しいでしょう。ジャーナリストの岡田豊氏が著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)で解説します。

業績は不安定でも起業が楽しいワケ

■「赤字でもストレスはゼロ」起業のススメ、トライする選択

 

知人のOさんは、15年ほど前、脱サラして起業しました。

 

大手百貨店や大手不動産会社に勤めていましたが、40代で思い立ち、ひとりで、不動産売買の会社を創りました。創業当初、なかなか赤字体質から抜け出せなかったのですが、「自分のペースですべてやれるので、ストレスがゼロ」と言っていました。会社員時代は、それなりに楽しいと感じていましたが、振り返ると、窮屈で、堅苦しかったそうです。

 

「くだらない会議に付き合わなきゃならないし、同僚が帰らないから自分も帰れない」

 

自分の時間を無駄にすることが苦痛でした。

 

「会社員時代もそれなりに楽しかったが、自分が創った会社はそれを超える楽しさがあるんです。とにかく、楽しい。自由を手に入れた、という感じです」

 

雇用する社員はいません。社長ひとりで奮闘する会社です。

 

「大変になるのも、楽になるのも、すべて自分の責任だから、人のせいにしたり、何かに責任転嫁したりすることがない。だから、心がすさんでいくことがない。常に心が健康で楽しくいられる」

 

業績は不安定なのですが、「楽しい」と言います。

 

業績が落ち込み、会社継続はもう無理かなと覚悟して頑張っていると、大きな仕事が入る。そんな繰り返しで、なんとか15年、持ちこたえてきました。

 

これまで、絶望の淵に立たされたこともありました。車を売り、生命保険を解約し、購入したマンションを売却しました。

 

家族と賃貸アパート暮らしになっても、起業したことに後悔はありません。いくつかのピンチを乗り越えると、「何とかできる」という妙な自信が身に付くそうです。

 

Oさんはなぜ起業したのでしょうか。子どものころから、自考が始まっていたようです。

 

神奈川県小田原市で育ったOさんの家庭は、裕福ではありませんでした。親に欲しいものを買ってもらえず、「読みたい漫画を友達から恵んでもらった」と言います。だから中学時代にはアルバイトをしました。

 

「いつかいい暮らしがしたかったんです」

 

父親は酒を飲むと「自分は高卒だったから出世できなかった」と愚痴をこぼしていたそうです。

 

父親の姿を見て、会社員の悲哀を感じ取っていました。小学校の卒業文集には「将来、会社をつくる」と書きました。早くから、自分の力で自分の人生を切り拓きたいと考えていました。

 

自分で事業を立ち上げ、運営する人生は、目に映る風景がどんなものになるのか、会社員の私には想像がつきません。楽しいと言われると、トライしてみたくなります。一方で、そう簡単にはいかないだろうなと、臆病にもなります。会社員は、組織の中で時には辛酸をなめ、屈辱を味わうこともあるでしょう。一方で社長業もつらいでしょう。

 

Oさんはこう言います。

 

「どちらも大変です。どっちが自分に合っているかということでしょうね。私は自分でやる方が心地よかった。気力は常に満タン状態。まだまだやります」

 

会社から会社の価値観を押し付けられ、会社の評価に縛られる生き方よりも、自分で会社の使命や理念を構築し、自分の価値観を創り上げる方が楽しい。Oさんを見ていると、そんな気にさせられます。もっと日本人は起業に挑戦していいと思います。

 

マイクロソフトを立ち上げたビル・ゲイツさん。アップルを創業したスティーブ・ジョブズさん。松下電器を築いた松下幸之助さん。起業し、イノベーションを起こすことに成功した人は、起業にトライし、イノベーションにトライした人だけです。トライした人だけが、道を拓くことができます。

 

トライしない人は、夢を実現することはありません。自分の夢をどこまで実現できるのか、それにトライする人生は、きっと楽しいでしょうね。リスクはあるし、不安も大きい。でも、トライする人が多ければ多いほど、新しい事業、新しい世界が実現する確率も高まるでしょう。

 

大勢の人がトライする社会は、きっと明るく、たくましく、楽しい。トライするのかしないのか。自考してみれば、答えは自ずと出るのだろうと思います。

 

岡田 豊
ジャーナリスト

 

 

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本連載は、岡田豊氏の著書『自考 あなたの人生を取り戻す/不可能を可能にする/日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)より一部を抜粋し、再編集したものです。

自考

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岡田 豊

プレジデント社

アメリカでの勤務を終えて帰国した時、著者は日本は実に息苦しい社会だと気付いたという。人をはかるモノサシ、価値観、基準の数があまりにも少ない。自殺する人があまりにも多い。笑っている人が少ない。他人を妬む。他人を排…

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