(※写真はイメージです/PIXTA)

65歳は多くの人にとって、第二の人生を踏み出す年です。働くことを生きがいにしてきたための弊害が、定年になると表面化されてきます。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

定年になれば自由になる時間が増える

■定年という衝撃

 

65歳は多くの人にとって、第二の人生を踏み出す年です。

 

これは自分で決めるというよりも、ある種、社会的に決められた人生の岐路だとも言えるでしょう。

 

その大きな要因が定年です。

 

政府統計によれば、日本では就業者のうち約9割が会社などの組織に勤める雇用者です。そして多くは65歳までに定年を迎えることになります。会社によっては、定年後のライフプランづくりについて研修を開くなど、第二の人生へのソフトランディングを促しています。健康や人間関係、資産、趣味など。定年後に起こり得るいくつかの課題についての心づもりを伝えられたかもしれません。

 

しかし、実際のところ、ほとんどの会社員にとって、定年になってみると、その衝撃は想定以上のものがあります。

 

後に詳しく紹介していきますが、心や体に不調をきたす方は少なくありません。なぜだか、イライラするようになったり、うつうつとしてしまったりして、日々の生活習慣が激変します。

 

「人付き合いが減って、一日中テレビを観てぼんやりと過ごす」
「やろうと思っていたことになぜだか取り組めず、家にばかりいる」
「家族への干渉が増え、家族から疎んじられる」

 

こんな状態に陥っては、結果的に心身の不調は加速してしまいます。

 

■目の前に広がる圧倒的な自由の怖さ

 

定年になれば自由になる時間が増えます。

 

これまでどのくらい勤め先にいたかを思い返してみてください。朝夕の通勤時間も含めれば、一日のうち、ほぼ10時間は会社に関わっていたことでしょう。あるいは、退勤後も同僚と飲みに行ったり、取引先の接待に時間を割いたり、さらには休日なども仕事のための研鑽をしてきたかもしれません。こうした時間のすべてが、定年後には必要がなくなると言えます。

 

そして、みなさんの目の前には圧倒的な自由が広がります。


「ようやく自由になれた! たっぷり自分のために時間を使おう」

 

と喜ぶ方もいるでしょう。今まで時間に縛られてきたのですから、そこはぜひ大いに喜んでいただき、自由を満喫していただければと思います。

 

ところが、それも束の間のこと。冷や水を浴びせるようですが、意外と自由な時間は持て余してしまうものです。すると結局は家の中にいる時間が増えるという方もいるでしょう。

 

対照的に、こんな方もいるかもしれません。好んで家にいたいというタイプです。

 

「今まで働き詰めだったのだから、この先は何もしないでゴロゴロしたい! なんて幸せなんだろう」

 

このような方も、家の中でひと月もゴロゴロしていれば飽きてしまいます。さらに全身の機能低下というオマケ付き。いよいよゴロゴロするのにも飽きて、外出しようかと思っても体力も衰えていますし、そもそも、その気力だって湧かないということになってしまいます。

 

このような生活を続けていったら、どうでしょう。

 

みるみる老け込んでいくことは想像に難くないと思います。

 

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    ※本連載は和田秀樹氏の著書『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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