税務調査で個人営業の居酒屋に〈追徴課税2,000万円〉…「どこからのタレコミですか?」→税務調査官の“誇らしげな回答”【税理士の実体験】

税務調査で個人営業の居酒屋に〈追徴課税2,000万円〉…「どこからのタレコミですか?」→税務調査官の“誇らしげな回答”【税理士の実体験】
(※写真はイメージです/PIXTA)

個人で事業を営んでいる場合、つい面倒な税務申告を疎かにしてしまう人は少なくありません。しかし、「申告がなければバレない」という考えは大間違い。領収書や通帳の管理をしないまま放置していると、どんどんトラブルが大きくなってしまうようで……。本記事では、Aさんの事例をもとに、税務調査の実態について鄭英哲税理士が解説します。

開店から7年間、1度も税務申告をしたことがなかった居酒屋

筆者はもともと消費者金融に勤めており、現在は公認会計士・税理士・証券アナリスト・宅建士・ファイナンシャルプランナーです。今回は、税理士をしていたら避けては通れない税務調査についてお話しようと思います。

 

いままで法人・個人併せて、20回ほど税務調査を担当しました。その経験のなかで特に記憶に残っている税務調査の実例を紹介します。自分史上、最も難しく、最も時間のかかった税務調査となりました。

 

ことの始まりは、筆者の友人からの紹介。居酒屋を経営しているAさんと出会いました。相談内容は、居酒屋を始めて7年になるが一度も税務申告をしたことがない。いつ税務調査が入ってもおかしくないため、帳簿を作成したいとのこと。

 

ただ問題は、過去に領収書がほとんど残っていない年度があること、振込処理をしている預金通帳についても業務用とプライベートが混在して、すでに区別もつかなくなっていることです。

 

問題は多いですが、ほかに頼る税理士もいないとのことで引き受けることに。案の定、分量も非常に多く、さらに会計入力をしようにも抜けている伝票も多かったため、なかなか作業が進まない状態でした。

 

そしてある日、本当に税務調査がやってきて…

帳簿作成を依頼されて2か月ほど経ったある日の朝、Aさんから電話が入りました。

 

「税務調査が『家』と『店』に来ました。どうしたらいいですか!?」

 

税務署職員が来たのは、朝8時台。Aさん宅と、たまたま従業員がいたタイミングで店に税務調査が入ったのです。

 

誤解のないように説明しますが、税務調査は、事前に税理士に税務署から電話が来ることが通常です。内容は、

 

・株式会社〇〇の税務調査をしたい
・対象になる年度
・税務調査の対応が可能な日
・税務調査の場所(事業所が代表者の自宅の場合、税理士事務所でやることも多い)

 

などを話し、税務調査が入る旨を代表者に伝えます。つまり、連絡がきた日から、実際に税務調査を行う日までに何日かの余裕があるということです。

 

今回の場合のように、急に税務署職員が入ってきたのは、いままで無申告で連絡すべき税理士がいなかったことが理由でしょう。ただし、ある程度大きな会社の税務調査になると、税務申告を毎年していても急に会社に入ってくることもあります。

 

そして、いったん電話を代わってもらい、顧問税理士である旨、名前、電話番号、税理士番号などを伝え、その日は帰ってもらいました。

 

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