「よい会社と判断したら勉強する」時代
■候補者が不勉強のまま面接に来てしまう事情
面接で主に志望動機について候補者へ質問した際、企業研究が足りない(自社についてよく調べてきていない)と感じた面接担当者もいるのではないでしょうか?
「面接しに来たのにどうして自社のことを知らないんだ」と、ムッとされる人もいらっしゃるでしょう。
なぜ彼らは不勉強のまま面接に来てしまうのでしょうか。
一つの理由は、昨今ではスカウト型採用が増えていることです。
この場合、候補者は初期段階の選考時において、いくら面接を受けているといっても、まだ強く「志望」していない場合が多くなっています。彼らは「ちょっと気になったから」「人材紹介会社のアドバイザーに勧められたから」受けているにすぎません。
こちらから「ぜひ受けてください」と言っている状態ですので、自社について勉強不足でも不思議ではありません。それなのに「勉強不足」だからといって落とすのは非合理でしょう。
また、採用の募集がインターネット中心になり、さらにコロナ禍を経て選考までもがオンライン化してきました。応募のハードルが下がって就職・転職活動がしやすくなり、受験社数が増えていること――これがもう一つの理由です。
もちろん、景気や求人倍率の動向によって実際に受ける会社の数は大きく変わりますが、インターネット普及以前よりも劇的に受けやすくなっていることに変わりありません。
以前よりも気軽に、たくさんの会社を受験できるようになれば、一社一社に対する研究量は減ってしまうのも致し方ありません。これをどう評価するかですが、「もう時代が変わったのだ」と認識すべきではないかと私は思います。
受験ハードルが高かった昔は「受けるかどうか」も一つの重要ポイントですので、事前に会社のことを勉強していることが当然だったかもしれません。しかし、今は「受けてみて感触を確かめる」「よい会社と思ったら、それから勉強して知る」時代になっているのです。
昔のイメージがある人にとっては「そんな無作法な」と思うでしょうが、一方で多様な候補者が応募してくれる機会が増えたと思い、今はそれが当たり前だと採用側が考えを改めるべきなのかもしれません。
・会社から候補者へアプローチしての応募が増え、志望度が高くない状態で面接に来るケースが多い。
・就職・転職活動のオンライン化によって、簡単にたくさんの会社を受けやすくなっている。