(※写真はイメージです/PIXTA)

売り手市場・人手不足の近年、面接は自社をアピールし、候補者の志望動機を高める場です。一方、逆質問は、候補者の印象をぐっと良くするチャンスでもあります。人事コンサルタントの曽和利光氏が著書『人材の適切な見極めと獲得を成功させる 採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

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面接は採用側の「自己アピール」の場

■「逆質問」にはどう対応すべきか?

 

売り手市場・人手不足の近年、面接は自社をアピールし、候補者の志望動機を高める場でもあります。そのためにも、候補者側から上手に「正直な逆質問」を引き出したいところです。

 

「正直な逆質問」とは、「自社におけるネガティブな要素、不安要因、デメリットなどを質問されること」です。

 

その会社の建前としてのメリットや強みは、会社説明会でもさんざん述べられますし、webやパンフレットにも書けます。

 

しかし候補者が本当に知りたいのは、自分がこの会社に入ったときのデメリットや、実際に働いている人の本音、webの口コミサイトなどで見た悪評の真偽などです。

 

一見、これらは「自社に都合の悪い質問」だと思われるかもしれません。しかし、そういった候補者の不安を聞き出せるからこそ、面接に意義があるともいえます。その質問を起点として相手の不安を軽減することが肝であり、そこから信頼関係を築いて、志望動機を高められるからです。

 

「正直な逆質問」を引き出すには、まず自己開示などで候補者の信頼を得ることが前提となります。

 

多くの候補者は、会社に対する不安などを質問すると、それだけで落とされてしまうのではないかという恐怖心を抱いています。よって、面接担当者の方からできるだけ率直に自分を語ることで、候補者に安心感、信頼感を与えるのです。

 

そのようにして「この人には(=この会社には)率直に聞いていいんだ」という空気が生じれば、候補者は固く閉じていた口を開いて、自分の不安などを話しやすくなります。

 

そして、候補者の不安にもとづく「逆質問」について、そのデメリットが真実ならばそれは正直にデメリットとして認めましょう。たとえば育休制度の利用率がまだ低いなら、そのまま実際の数字とともに「低い」と答えます(もちろん、「会社側もそれは改善すべき点だと考えている」「○年後は△%を目標に働きかけている」などのことも付け加えます)。

 

どこの企業も、弱みを抱えています。大切なのは、それを正直に語ることで生まれる安心感や信頼感です。それが、相手の志望動機を高める勘どころです。

 

ポイント
・面接は採用側の「自己アピール」の場でもある。
・ネガティブな逆質問こそが面接の肝となる。
・率直な自己開示によって安心感・信頼感を持ってもらうことが、志望度を高める。

 

次ページ自社の「強み」は候補者によっては「弱み」に

※本連載は、曽和利光氏の著書『採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

採用面接100の法則

採用面接100の法則

曽和 利光

日本能率協会マネジメントセンター

採用活動における「面接」は、最もポピュラーな採用選考の方法です。 しかし、これほど普及していながら、「人材をきちんと評価できているか?」「うまくコミュニケーションは取れているか?」「内定を出しても辞退されやすいの…

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