(※写真はイメージです/PIXTA)

優秀な人材の途中辞退を避けるためには、「面接とは相互理解を深めるための場」という基本姿勢を改めて持つことです。人事コンサルタントの曽和利光氏が著書『人材の適切な見極めと獲得を成功させる 採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

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辞退理由は「面接担当者の印象が悪かった」

■面接を通過しても辞退される原因は?

 

面接を重ねる中で、採用側は候補者を合格とし、次の選考過程に進んでもらいたいと考えていても、相手側から辞退されることは珍しくないでしょう。

 

しかし、さまざまな事例で、「途中辞退した候補者はそうでない候補者よりも優秀であることが多い」「優秀な人であればあるほど、途中辞退することが多い」ということが示されています。

 

考えてみれば、理由は簡単です。優秀な人材は他社からも声がかかるので、一つひとつの会社にはさほどこだわらないからです。

 

ここで避けるべき採用担当者の心理として、「酸っぱいブドウの心理」があります。これはイソップ童話で、高いところにあるブドウを採れなかったキツネが、「あのブドウはどうせ酸っぱくて不味いに違いない」という負け惜しみを自分に言い聞かせたことに由来する心理です。

 

採用担当者はしばしば、「途中辞退するヤツなんてこっちから願い下げだ」「どうせ忠誠心が薄いだろうからいらない」と切り捨てるように判断してしまいます。非常にもったいない考え方であると同時に、自社や自己について正しく「自己認知」ができていないとも言えます。そして辞退される理由についてわからないままのため、辞退されることを改善もできません。

 

もし辞退が続くようであれば、採用担当者や面接担当者の姿勢が著しく採用力を下げたままにしているのだということを深く自覚しましょう。

 

改善方法についてですが、優秀な人材の途中辞退を避けるためには、「面接とは相互理解を深めるための場」という基本姿勢を改めて持つことです。警察や法廷での尋問のように、どちらか一方が相手を裁き、判定する場ではありません。「お互いに対等である」という意識を持ったうえで良好な人間関係を築くことで、候補者の途中辞退率はぐっと下がります。

 

具体的には、面接担当者も候補者に対してきちんと自己紹介をしたり、十分な逆質問の時間を取ったり、アイスブレーキングを行うことでリラックスした場づくりを心がけたりすることです。

 

これらのことを行って初めて、候補者は「重要感」(自分は重要視されている、人として尊重してもらえているという感覚)を抱くことができ、次の選考を受けようという気持ちを持ってもらうことができます。

 

候補者が面接を途中辞退する最大の理由は、「面接担当者の印象が悪かった」です。途中辞退が多いと感じる会社はこの点を振り返ってみてください。

 

ポイント
・「面接とは片方が他方をジャッジする場ではなく、相互理解を深めるための場だ」という意識を持つ。
・候補者に「重要感」「尊重感」を抱いてもらうことを心がける。

 

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※本連載は、曽和利光氏の著書『採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

採用面接100の法則

採用面接100の法則

曽和 利光

日本能率協会マネジメントセンター

採用活動における「面接」は、最もポピュラーな採用選考の方法です。 しかし、これほど普及していながら、「人材をきちんと評価できているか?」「うまくコミュニケーションは取れているか?」「内定を出しても辞退されやすいの…

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