(※写真はイメージです/PIXTA)

今後、高齢者のひとり暮らしが増えることを考えると、私たちは身体の健康だけではなく、精神的にもタフでなくては生きていくことができません。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)で解説します。

子どもの帰省後は1週間落ち込む

■「ひとりを楽しめるスキル」は身につけておきたい

 

東京都内の古い団地に住むM子さんは、認知症の診断は受けていますが、それほど進行はしていません。外出は膝が痛いのでデイケアへ行くくらいでした。

 

家の中では自立して過ごしていますが、買い物は不便です。宅配も頼みますが、衣服やもろもろ自分で買いたいときもあります。そんなときは、神奈川に住む息子さんが車で来て、買い物に連れて行ってくれるそうです。

 

そんな話を聞いて私は「いい息子さんですね」と言いました。ところが、M子さんは「でもね。買い物の荷物を玄関に置いて、忙しいからってお茶も飲まないで帰っちゃうんですよ」と呆れ顔で笑いながら話しました。

 

M子さんは笑っていましたが、そのさびしさはこちらにも伝わってきました。M子さんは、ひとりでお茶を飲み、たぶん気分を立て直してから、買ってきたものの片づけをするのでしょう。

 

ほかのひとり暮らしの方からも「子どもや孫が盆や正月には来てくれるけど、帰るとさびしくて一週間ぐらいは落ち込んでしまって」という話を聞きます。

 

高齢者のひとり暮らしが増えることを考えると、私たちは身体の健康だけではなく精神的にもタフでなくてはいけないのだと思ってしまいます。

 

ひとりでも楽しめるスキル、家族だけに精神的に依存しないスキル、他者と交流するスキルも必要なことだと考えます。

 

和田 秀樹
和田秀樹こころと体のクリニック 院長

 

 

↓コチラも読まれています 

「意欲の低下」は気持ちの問題でも年のせいでもないという理由

70歳でも若さを持続できる人と一気に衰える人の決定的な違い

若返るのではなく「死なない」だけ…「人生100年時代」の悲愴

寿命が伸び続けても「脳の老化は止められない」という怖い現実

弟の東大現役合格で確信!「受験は才能ではなくて要領である」

本連載は和田秀樹氏の著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい

80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい

和田 秀樹

廣済堂出版

70代は人生の下り坂に差し掛かった時期。一気に滑り台のようにおりていくか、鼻歌でも歌いながら気長におりていくか……。80代、90代を迎える大事な時間である70代をいかに過ごすべきか。30年以上にわたり高齢者医療に携わって…

アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉

アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉

和田 秀樹

大和書房

親の言葉かけが、子どもを東大へ行かせます。 罰しても子どもは勉強しません。なぜなら自分に価値があると思うときに子どもは勇気を持てるからです。アドラーは親子関係を対等なものと考え、子どもが人生の課題に取り組み、乗…

東大医学部

東大医学部

和田 秀樹 鳥集 徹

ブックマン社

灘高→東大理Ⅲ→東大医学部卒。それは、日本の偏差値トップの子どもだけが許された、誰もがうらやむ超・エリートコースである。しかし、東大医学部卒の医師が、名医や素晴らしい研究者となり、成功した人生を歩むとは限らない…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録