経営者がブランディングに真剣に取り組むべき理由
しかし、語弊を恐れずにいえば、会社は業績の向上こそが生命線です。
単に社員同士のコミュニケーションを促進するために、飲み会やバーベキュー大会を開催しても残念ながら業績は上がりません。
昨今、流行のようにもなってきたインナーブランディングですが、社内目線だけの社員のご機嫌取りのような活動では持続的な効果は期待できず、むしろ本質から目を逸らしてしまい逆効果でさえあると私は考えます。
会社の未来や目指すべき姿を議論し、骨太なコンセプトを掲げ、クオリティーの高いデザインと、力強く発信するウェブコンテンツを取りそろえていき、ファンを増やし、業績を上げ、会社の継続的成長を促進するためにあるのがブランディングです。その手応えを掴んでいくことで、結果として社員のモチベーションが向上していくという好循環をつくるべきなのです。
ブランディングに取り組むには覚悟が必要です。時に経営者にとって耳の痛いこともあると思います。会社の過去・現在・未来と向き合い、本気で変わりたいか、成長したいかを自ら問い掛け続ける活動になります。その意味では、ブランディングとは経営そのものをデザインし直すプロジェクトであるといえるかもしれません。
よい商品・サービスを生み出し、その価値や魅力をきちんと伝え、業績を向上させていくことが経営者の仕事です。とてもシンプルですが、かつてのような国全体の経済成長が見込みにくい今、それぞれのビジネスオーナーの創意工夫が求められています。
ウェブブランディングは本気で取り組むことができれば、必ず経営者の大きな味方、大きな無形資産となって、継続的な成長の土台となってくれるはずです。そしてそれはコンサルタントや制作会社が一方的に代行できるものではなく、経営者の真剣かつ深い取り組みが欠かせません。
マニュアルをこなすようにブランディングを行うのではなく、深く考え、自分たちは何を大切にしてどこへ向かっていくのかをしっかりと話し合うこと──。
そのような過程こそがその企業に関わる人々の深い理解を醸成し、ブランドを内面から輝かせることにつながるはずです。
佐野 彰彦
株式会社smallweb/株式会社それからデザイン
代表取締役