プロジェクトを通じて、経営者と社員が団結する
ウェブブランディングは経営者と社員の総合プロジェクトです。コンセプトをつくるということは、ウェブサイトに掲載する単なるキャッチコピーを考えるという意味ではなく、これから会社の合言葉として、経営者も社員も大切にしていく価値観を決めることです。
現在の会社のよい部分も、あるいは上手く行っていない部分もすべて振り返ります。これから目指していく会社の理想像をともに考えていく作業ですので、時には痛みを伴うこともあります。長く活動していれば、振り返りたくない出来事のひとつやふたつはどんな会社でもありますが、そのようなことも改めて直視して会社の未来を考えていくのです。
経営者には経営者にしかわからない苦悩があると言われます。特に中小企業の経営者は孤独を感じることが多いように思います。会社の規模が小さい分、営業も製造も人事も、経営者の手腕が業績に直結します。「これからの自社の未来をともに考えよう!」と突然言っても社員側にはピンと来ず、結果的にゴールの見えない会社経営を経営者が一人で背負い続けています。
そこでよい提案があります。「ウェブサイトを全面リニューアルすることにしました。それに伴い、自社のブランドコンセプトをつくり直したいと思います」という宣言をすることで、社員にとっても参加しやすいプロジェクトの形をつくるのです。
ウェブサイトのリニューアルという名目であれば社員にとってもイメージが掴みやすくなり、経営者と社員が自社の未来をともに考えるよいきっかけをつくることができます。
小さな会社でも、プレスリリースを作成しメディアへ発信する
インナーブランディングもアウターブランディング(外向けのブランディング)も、結局のところは一対であり本来は分けて考えるべきではないというのが私の持論です。
お客様に価値や魅力を伝えることはそもそも社員が自社の魅力を信じていなくては実現できません。また逆にお客様から喜ばれたり、業績が上がっていったりする体験を通じて、社員が自社の魅力を再認識していくことも多々あります。
ですから、インナーブランディングは社員のモチベーションを上げるためにあるわけではなく、あくまでも社員が自社の価値や魅力に気づき、自信をもって外へ発信していくための土台をつくることに過ぎません。アウターブランディングを実践することがインナーブランディングの強化につながるともいえるのです。
そこで私がおすすめしたいのがプレスリリースの作成とメディア向けの発信です。中小企業やスモールビジネスがそんなことをする必要はないと思いこんでいるとしたら非常にもったいないことです。自社の新商品や新サービスの発売開始、イベントや発表会の開催などをメディア向けの情報としてニュース化しプレスリリース配信を行います。
稀ではありますがいきなり大手のテレビ局から取材が入ることもあります。ニュースや情報番組の制作を担当している会社のディレクターは「面白いネタ」を常に探しており、特にあまり知られていないけれどユニークな商品やサービスをもっている中小企業には興味津々なのです。
またテレビなどに限らずウェブ系のニュースメディアも常に新しい情報を探していますから、定期的にプレスリリースを配信している会社はそれだけでも注目が集まりやすい状態をつくることができます。
プレスリリースの配信はとても簡単で、PR TIMES(ピーアールタイムズ)という配信サービスがあります。アカウントを作成しテキストを投稿することでメディアの記者やディレクターに情報を届けることが可能です。
小さいニュースでも自社の商品やサービスが紹介されることがあれば、それだけでも社員にとっては誇りに感じる出来事にもなります。自社の活動をプレスリリースとして配信し続けることは、アウターにもインナーにもつながるブランディングのひとつの方法になります。