(※写真はイメージです/PIXTA)

世界では、デモや集会が暴動へと発展するケースがあります。同質社会の日本は、混乱が起きにくいという強みを持つ一方で、個性を発揮しにくいという弱みがあるのかもしれません。ジャーナリストの岡田豊氏が著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)で解説します。

子どもが自由に学校を選ぶメリット

■学校を自由に選べたら……

 

みなさんは学校をどうやって選んできましたか。転職が簡単にできるようになったこの時代、学校もできるだけ自らの意思で選び、変更する仕組みを導入できないかという問題提起です。

 

児童、生徒は、小学校、中学校、高校に所属することを求められます。特に公立の小学校、中学校は住んでいる地域によって、入る学校が決められてしまいます。

 

良い教員、魅力ある授業や部活動などを基準に選びたくても、なかなか思い通りにはなりません。入学すれば、校歌や校訓を一方的に覚えさせられ、選んでもいない教員たちが教壇で待ち構えています。

 

校則、礼儀、協調、和……。集団で生活するためのルールなどを学ぶことは大事ですが、そこが自分に合わなかったり、人間的に未熟な教員がたくさんいたり、あれ、ちょっと違うなと感じた場合、学校を変更する選択ができないでしょうか。

 

いじめ、相性の合わない教員。こうした不幸に遭遇した時、自由に学校を選ぶことができれば、選択肢が増え、生徒は救われるだろうし、楽しいはずです。

 

「教育を受ける権利」は国民の三大権利の一つです。義務教育は無償です。義務教育は行政サービスのひとつと解釈することができます。役所の公務員が公園を整備したり、地域を区画整理したりするのと同じように、公立学校の教員は行政サービスを子どもたちに提供する。もし、行政サービスの質が悪い場合、本来、生徒や保護者は改善を求めることができるはずです。

 

しかし、現実はそうなっていません。学校現場は基本的に常時、第三者に公開されていないため、行政サービスのチェックがなかなかできません。生徒に選ばれない学校は人気が下がっていいはずです。そうならないよう教員も学校も自分の頭で考え、本気になる仕組みがあっていいはずです。

 

競争原理のすべてが望ましいとは思いませんが、学校選択に競争原理を導入する試みは、様々なハレーションを伴いながら、状況が好転するきっかけになるのではないでしょうか。学校が「個」に響く本当の教育の場に生まれ変わる契機にもなると考えます。

 

例えば、1年ごとに変更したい児童、生徒の希望を募り、実践してみてはいかがでしょうか。

 

手続きは大変でしょうが、生徒の目先のメリットや、将来、社会が得る果実は大きくなるのではないでしょうか。そうした学校、自治体がどんどん出てこないかと期待しています。

 

みなさん一人ひとりがそう考え、そう願えば、自治体もやがて動くのだろうと思います。

 

次ページ高認は進路変更する仕組みの受け皿

本連載は、岡田豊氏の著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)より一部を抜粋し、再編集したものです。

自考

自考

岡田 豊

プレジデント社

アメリカでの勤務を終えて帰国した時、著者は日本は実に息苦しい社会だと気付いたという。人をはかるモノサシ、価値観、基準の数があまりにも少ない。自殺する人があまりにも多い。笑っている人が少ない。他人を妬む。他人を排…

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