日ごろのルーティン化した習慣を見直す
■年齢が上がるにつれてひっかけ問題にはまりやすい理由
厄介なのは、年齢が上がるにつれこうしたひっかけ問題にはまりやすくなることです。
前述した社会保険労務士試験の選択式試験のように、十分な実力を持ちながら、毎年、涙を吞む受験生がいます。なぜ中年受験生のほうがひっかかりやすいのでしょうか。
それは年をとるにつれ、アンコンシャス・バイアスにとらわれてしまうからです。アンコンシャス・バイアス(無意識バイアス)とは、自分自身は気づいていない「ものの見方やとらえ方の歪みや偏り」をいいます。過去の経験や、見聞きしたことに影響を受けてしまいます。
こうした習慣があると、冷静な判断や学習したことが素直に入らず、つい自分の都合がよいように解釈してしまいます。こうした癖があると、いくら知識の量を増やしても新たな問題に対応できない恐れがあります。
アンコンシャス・バイアスには次のようなタイプがあります。
・ステレオタイプ
属性を基に先入感や固定観念で決めてしまう。
・確証バイアス
自分の考えに合う情報や都合のよい情報だけ集めてしまう。
統計資料に関する問題も出題されます。
統計資料を見る際は、自分の考えに合致しているかを確認するのでなく、いったん頭を白紙にして見るようにしましょう。
■ひっかけ問題対策
それではひっかけ問題に対応するにはどのようにしたらよいのでしょうか?
アンコンシャス・バイアスをなくすためには、次の5つが有効になるといわれています。
①対抗意見にも目を配り、自分の判断が偏っていないかチェックする
②肩書のみを信頼の担保とせず、客観的な立場からの視点を意識する
③多様な考えの存在を認め、常にひとつ以上の角度から物事を見る
④組織や集団とは関係のない立場からの視点を持っておく
⑤自分と異なる価値観を否定せず、その背景を考える
(アンコンシャス・バイアスとは?/PRTIME MAGAZINEより)
上記の中で1と2のアプローチは、特に有効となるのではないでしょうか? 直感的に選んだ回答に対して、本当に正しいか、もしかして自分の体験記憶に基づいたものではないのかを違う立場から検証してみるのです。
もちろん、全部の設問に対して実施する必要はありません。どちらか判断つかない問題の場合は、最初の直感が正解であるときが多いからです。
ただしひっかけの語句が含まれている問題や統計資料に関する問題については、違うこともあるのではという自問自答をしてみましょう。
■日常生活を見直してみる
そのほかにも日ごろのルーティン化した習慣を見直してみるのもよいかもしれません。中年になるとビジネスパーソンの交友関係も仕事が中心となり、単調になりがちだからです。
特別なことを始めなくてもよいです。
しばらく会ってなかった学生時代の友人と会ってみる。昔やっていたスポーツや楽器などを再開するなどでもよいでしょう。家事などの分担を増やしてみるのもよいです。
難関資格の勉強を始めると、空いた時間をすべて勉強に充てなければならないと考える人もいるかもしれませんが、そうするのは直前の1ヶ月で十分です。
部活や学園祭に熱心に取り組む生徒のほうが、大学入試で成功するケースが多いといわれていますし、ドラマの『ドラゴン桜』の中でも桜木先生がなにか家事をやらせることを受験生の親に勧めていました。成績を上げるためには、勉強以外にも体を動かしたりするほうが頭の回転がよくなることがあるのです。
さらに試験合格後、転職や副業、独立などを検討する場合、意外と学生時代の友達や趣味による交友関係が役立ちます。
佐藤 敦規
社会保険労務士
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