「ワンルームマンション投資」は昨今、不動産投資の初心者に人気です。営業マンのうたい文句で典型的なものは「少額から始められる」「所得税や住民税の節税になる」「いざというときの生命保険代わりになる」などです。しかし、実際には収支が合わず損をする人があとを絶ちません。本記事では、東京都世田谷区の新築ワンルームマンションを投資目的で購入した後藤さん(男性・40代※仮名)の事例を紹介します。
不労所得のはずだったワンルーム投資
後藤さん(男性・40代※仮名)は7年前に東京都世田谷区の新築ワンルームマンションを投資目的にて購入しました。
担当したマンション販売会社営業員からの「所得税や住民税の負担を減らせるので節税につながる」、「団体信用生命保険に入るのでいざというときの生命保険代わりになる」といった営業トークにつられての、「35年フルローン」を組んでのワンルーム投資でした。
好立地の物件につきすぐに入居者が決まりました。家賃収入から維持費やローン返済額を差し引いた利益が月に1万円弱ほど入るようになり、幸先のいいスタートを切ることができました。
しかし、投資開始4年目くらいには収支がちょうど同額になり利益ゼロ、さらに5年目に突入した瞬間、収支が逆転し赤字となってしまったのです。
家賃収入は新築時と変わらないのになぜ赤字に陥ってしまったのかというと、管理費と修繕積立金が原因でした。一般的に管理費と修繕積立金は新築時から年を追うごとに高くなっていく傾向です。その点を販売会社は販売当時十分に説明できておらず、事前の把握と対策ができていなかったため、後藤さんは想定外の事態に直面してしまったのです。
ワンルーム投資開始後に結婚、子どもも生まれ、自宅の住み替えや教育費などさまざまな費用が掛かるライフステージへ突入し、赤字を垂れ流しているワンルームが頭痛の種となってきました。早く売ってスッキリしたいと焦る気持ちを抑えられない様子で、不動産エージェントのところへ相談に訪れました。
さくら事務所 代表取締役社長
らくだ不動産株式会社 代表取締役社長
だいち災害リスク研究所 副所長
大西 倫加(おおにしのりか)広告・マーケティング会社などを経て、2003年さくら事務所参画。同社で広報室を立ち上げ、マーケティングPR全般を行う。2011年取締役に就任し、経営企画を担当。2013年1月に代表取締役就任。2008年にはNPO法人 日本ホームインスペクターズ協会の設立から携わり、同協会理事に就任。10年間理事を務め、2019年に退任。2018年、らくだ不動産株式会社設立。代表取締役社長就任。2021年、だいち災害リスク研究所設立。副所長就任。不動産・建築業界を専門とするPRコンサルティングも行っており、執筆協力・出版や講演多数。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載悩める売主を救う「不動産エージェント」という選択
さくら事務所 会長
らくだ不動産 顧問
1967年東京都生まれ。不動産コンサルタント。さくら事務所会長。NPO法人日本ホームインスペクターズ協会初代理事長。1999年、不動産コンサルティング会社「さくら事務所」を創業する。著作に『バブル再び 日経平均株価が4万円を超える日』、『マンションバブル41の落とし穴』(小学館新書)など多数。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載悩める売主を救う「不動産エージェント」という選択