(※写真はイメージです/PIXTA)

東京都世田谷区の新築ワンルームマンションを投資目的で購入した後藤さん(男性・40代※仮名)は、管理費と修繕積立金の上昇のため、5年目から赤字に陥ってしまいました。売ろうにも、販売価格がローンの残債を400万円も下回っており、債務整理も考えなければならない状況に追い込まれました。後藤さんから相談を受けた不動産エージェントCは、なんとかして後藤さんが損せずに済む方法はないか、調査に乗り出しました。

エージェントからの意外な提案

エージェントCが大きな懸念材料ととらえていたのが、ワンルームマンション投資が「サブリース契約」になっていたことでした。

 

サブリースは簡単にいうと又貸しのことです。不動産所有者がサブリース会社と契約を結び、さらにサブリース会社が入居者を募集し賃貸契約を結ぶような、2階層の契約形態となっています。

 

ちなみに厳密には不動産所有者とサブリース会社との間で交わされる契約形態をマスターリース、サブリース会社と入居者の間で交わされる契約形態をサブリースというのですが、ここでは2階層の契約形態を一括してサブリースと総称していきます。

 

入居者募集や管理などいっさいの賃貸業務を一括委託できる手軽さが、サブリースの魅力です。一方で、サブリース会社が手数料を取っていくため、不動産所有者への実入りが少なくなるデメリットもあります。

 

本件のワンルーム投資においては、サブリース会社が間に入っていることで、投資先としての価値が下がり、売却価格が低く見積もられている傾向となっていました。

 

後藤さんに入る家賃収入は8万円となっていたのですが、これは相場から勘案するに明らかに安値だったのです。

 

サブリース会社が1万円ほどの手数料を取っているのだろうという予測が立ったのですが、サブリース会社と入居者がいくらで賃貸借契約を結んでいるのか、こちらでは把握することができません。仮に手数料分を上乗せした9万円の家賃見込みで、物件を購入検討者にアピールすることができれば、売却価格を引き上げることは十分可能です。

 

周辺の家賃相場や市場動向、サブリースに関する契約事項など、さまざまな角度から深掘りし、Cはある作戦を練りました。そして、2回目の面談の場で開口一番に今すぐの売却はやめようと提案したのです。

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悩める売主を救う 不動産エージェントという選択

悩める売主を救う 不動産エージェントという選択

大西 倫加,長嶋 修

幻冬舎メディアコンサルティング

不動産売却を検討する人は必読の一冊! 後悔したくなければ「不動産エージェント」を選択せよ! 売主第一主義か?自社利益最優先か? 不動産業者は千差万別! 正しいパートナー選びが売却の成否を分ける――

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