思い込みが強いと試験ではマイナス
社会人は学生と異なり、試験から遠ざかるものの、毎日大量のメール処理や資料の作成などに追われています。こうしたスキルは、資格試験の問題処理能力とも共通しているので、社会人だからといって不利ではありません。
しかし日系企業で働く管理職の中には、社内での調整やスタッフの管理などのため、業務の大半が会議で潰れてしまう人もいます。
こうした人は、書類のチェック以外、実務から離れていますので、処理能力が衰え、試験では力を発揮できなくなる恐れがあります。中年になると合格しづらくなるのはこうした事情もあるのではないかと思われます。
ただこのハンディも問題演習を積むことにより、克服できるレベルのものです。
■思い込みが激しくなる、実はこれが一番厄介
記憶力や処理能力(反射神経)の衰えはあるものの、決定的なものではありません。
40歳以上になると転職試験で採用されづらくなる理由として、年上の部下は使いづらい、能力・体力が衰えるなどと並び、頭が固くなるので、新たな組織や仕事に馴染めないというものがあります。
資格試験にも同様のことが当てはまり、思い込みが強くなるとひっかけ問題にひっかかってしまい、何度挑戦しても合格できないという状況に陥ってしまいます。
代表的な例が社会保険労務士試験の選択式です。文章の途中を抜かれていて正解を複数ある選択肢の中から選ぶ形式の問題です。それほど難問ではなさそうに思えますが、実は紛らわしい選択肢が並んでいるので誤ったものを選んでしまう人が多いのです。
下図の問題は実際の選択式問題です。一見すると現在54歳の人が大学を卒業した平成3年は、バブル経済の余韻もあり、新卒での就職条件がよかったような印象を抱く人が多いのではないでしょうか? そのため、反射的に②と④を除外して③を選んだ受験生が多かったです。しかし正解は④なのです。
社会保険労務士試験の受験者の中には、択一式試験で高得点を取りつつも選択式試験で足切りとなってしまい5回以上という長期にわたって受験を余儀なくされている人もいます。そして厄介なことに真面目でコツコツと努力する人ほど、こうしたトラップに引っかかりやすいのです。
本連載で紹介している資格試験については、必要とされる学習時間と正しい勉強法さえ身についていれば、1~2回での短期合格も可能だと考えています。しかし思い込みが強い人は、十分な実力を擁しながらも長期戦にはまってしまう危険があります。
佐藤 敦規
社会保険労務士
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