中国ではコロナにより「オンライン診療」が広がったが…日本では医療逼迫頻発も普及しない理由

中国ではコロナにより「オンライン診療」が広がったが…日本では医療逼迫頻発も普及しない理由
(※写真はイメージです/PIXTA)

中国では新型コロナウイルス流行以前より「オンライン診療」は一部地域で普及されていましたが、コロナショックを機に全土まで拡大しました。日本でもコロナの流行から相次ぐ医療逼迫を機に、オンライン診療の推進が旗揚げされましたが、浸透していません。なぜなのでしょうか、みていきましょう。

 

オンライン診療が広がらない日本

一方、日本は…

さて日本では、2017年にオンライン診療はスタートしました。2020年の4月に「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」のなかで、オンライン診療の活用促進の方針が閣議決定されました。新型コロナウイルスの自宅療養者向けに、パソコン画面などを使うオンライン診療が日本では未だに広がらない状況です。

 

2021年8月19日の日本経済新聞に「オンライン初診ほぼゼロ」という記事がありました。日本経済新聞が情報公開請求で得たデータによると、2021年1~3月の初診からのオンライン診療の利用頻度は、35道府県で人口10万人あたり月1回未満とほぼゼロでした。

 

なぜ日本では広がらないのか?

これまで対面診療の必要性がオンライン診療の普及を妨げていました。それが規制緩和されたのですが、日本医師会もいろいろと懸念して、オンライン診療の拡大には慎重な姿勢でした。開業医などで構成する日本医師会は、誤診で訴えられる恐れや診療動画の流出などを警戒し、オンライン診療には消極的です。

 

また医師からは「手間がかかる」といった声も聞かれます。政府は、新型コロナの自宅療養者らに対して電話やオンラインで診療した場合の報酬を2倍超に引き上げ、医師に前向きな行動を促しますが、それでも医療機関の動きは鈍いように見えます。

 

中国から学ぶことになるのか

中国では医療のオンライン化によって、慢性病患者を通院から在宅に変えることができました。その結果、医療スタッフのストレス軽減と、コロナウイルスの感染拡大防止にも多くの役割を果たしています。

 

中国のオンライン診療の拡大において、政府は裏方として医療のインフラ整備に徹し、医療保険や制度面での監視・整備を担い、BATを始めとする有力企業に市場形成を任せています。日本と中国では医療の仕組みが異なるため、一概にすべてを導入することはできないですが、スタート後の柔軟な調整やスピード感のある政府の対応や関わり方は、参考にしてもよいのではないでしょうか。

 

中国は現在の発展と社会環境の改善において、多くを日本から学び、取り入れてきました。かつて日本が欧米から学び、取り入れることで独自に発展してきた事と同じ過程を経て、現在の中国の発展があります。

 

もっと日本も

アメリカや中国などの海外ではオンライン診療が急速に拡大しています。日本も政府や地域が一体となって促進する取り組みが不可欠です。「日本には日本のやり方がある」といわれそうですか、日本の医療も長きに渡り、様々な対応によって医療環境が改善してきた実績があります。

 

日本には素晴らしい医療体制があるのですから、オンライン診療の普及が、「まだ先のこと」にならないよう、国や医療関係者に期待したいものです。

 

 

鈴木 幹啓

すずきこどもクリニック院長

 

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