中国のオンライン診療推進の背景
五か年計画
中国は五カ年計画で、モバイル、クラウド、ビッグデータ、IoTなどの新しいインターネット技術と既存の産業を結合させる国家戦略により、金融、物流、医療などの再構築が進められました。それにより、「インターネット×医療」も推進されます。5G通信システムに大きく投資したこともオンライン診療の拡大に影響します。
医療への不満
中国の医療体制について、地域間の医療格差による不満は、今日に始まったことではありません。中国では新型コロナウイルスの感染拡大以前から、オンライン診療やオンラインでの処方薬販売がスタートしていました。国土が広く、十分な医療を受けられない地域も少なくない中国では、オンライン診療に対する期待が大きく、政府も2019年に処方薬の販売を解禁するなど、普及を後押ししてきました。
オンライン診療は新型コロナウイルスでさらに大きく発展
中国ではオンライン化の発展により、中国国内の患者さんが、従来の診療方法から変わってゆくことを想定して、医療関連事業を新たに展開してゆくことになります。そこに新型コロナウイルスの感染拡大が発生したのです。これを機にオンライン診療を開始する病院や医療アプリが増加し、一般市民へのオンライン診療が一気に拡大します。
患者の急増に医療体制や整備が追いつかなくなると、当然医療崩壊が懸念されます。そうなると、オンライン診療のプロバイダー各社が急速に動き出しました。新型コロナウイルスの感染拡大が、診療のオンライン化の発展要因となってしまったわけです。
大流行地「武漢」を救ったオンライン診療
新型コロナウイルスの大流行地となった湖北省の武漢市では、患者が病院に殺到し、供給体制が追いつかず、医療現場は大混乱しました。この混乱は死亡者増加の原因になったといわれています。中国政府は、武漢の医療機関の負担を軽減するため、中国医師協会にオンライン診療による後方支援を指示しました。
オンライン診療の普及に向けた土壌が整いつつあった中国では、既に完成されていたネットサービスに、各地方政府や病院がネットサービスを導入することになり、医療のオンライン化を急速に進みます。そうすることで、自宅からオンラインで病院と相談できる仕組みを整備し、外出による感染リスクの軽減を目指したのです。
全土で進展するオンライン診療
上海市では、2020年に市内の大規模総合病院(公立病院)が運営主体となってオンライン化し、「インターネット病院」が登場しました。上海インターネット病院の先駆けとなった中山(※1)病院です。オンライン診療もさまざまで、各科ごとにチャットルームが用意され、テキストと画像・電話・ビデオチャットでやりとりできるようになっています。
※1:「中山」とは中国では孫文を意味することが多いです。
無人薬局の登場
処方薬の発送・到着の遅れの問題も、最近では当日配達や保険の適用なども徐々に改善され、日々進歩を続けています。また、無人薬局、薬の自動販売機(※2)、タブレット端末によるリモートでの薬のアドバイスなど、「未来薬店」と称する店も出現しています。このように中国では、「オンライン診療+処方薬の配送のサービス」など、各地方の状況にアレンジされて、現在も進展しつつある状況です。
※2:「薬の自動販売機」は広東省の事例
広い中国で今後も進展するオンラインサービス
各地の公立病院でも、インターネット医療サービスを次々に開始しました。いまやインターネットサービスをしていない公立病院は無いとまでいわれています。それに伴って、関連費用が医療保険の適用対象に徐々に組み込まれている状況です。最近ではさまざまなところで改善が行われていますが、とにかく国土が広いので、特に僻地(へきち)といわれている場所が国中にありますから、リモート診療を受けられる環境整備が日々進化している状況です。
中国のオンライン診療は、今後も中国全土で普及してゆくことは間違いなく、それと共にサービスの利用に対する保険の適応ルールや取扱も改善されてゆくと思われます。
コロナショックで追い詰められた結果
中国のオンライン診療が拡大した背景とその要因は、やはり新型コロナウイルスが大きく影響していることは疑いの無いことです。コロナ禍で日本以上に一般市民の移動・外出が厳しく制限され、経済活動だけでなく、あらゆる局面でリモート化が推奨され、当然のごとく、病院での院内感染のリスク回避は進められました。それは、病院利用者の「対面診療」が当たり前であった意識を、根本的に変えて行く必要性に迫られた結果なのではないでしょうか。
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