(画像はイメージです/ココナラ法律相談)

配偶者への裏切り行為である不倫は、決して許されるものではありません。「一度の過ち」ならまだしも、不倫が原因となり離婚することになれば、夫婦それぞれの今後の人生に重大な影響を及ぼす問題となるでしょう。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、不貞行為の末の離婚問題について岡部将吾弁護士に解説していただきました。

夫が2年前からの不倫、子どもがいることを告白

相談者のKさん(女性)は夫から突然、2年前から不倫をしていたこと、またその不倫相手との間に1歳の子どもがいるので離婚してほしいと告げられました。

 

そしてその1週間後、夫は今後のことを何も決めないまま家を出ていってしまいました。Kさん自身は離婚を決意しています。

 

大学生になるKさん夫婦の子どもの教育費は、子どもに直接「責任を持つ」と約束したようです。しかしKさんはもう既に50代中盤でパート勤務のため、将来の不安しかありません。Kさんの希望としては、財産分与で、持ち家が欲しいと思っています。

 

評価額は3200万円で、ローン残高は1900万円になります。

 

そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

 

  1. Kさんが持ち家を取得した際、夫から支払わなければならない現金を預かり、ローンの返済に充てることは可能なのでしょうか。夫がとてもお金にルーズで口先だけの人であるため、支払いが滞って差押えられないよう、Kさんが一度現金を預かりローン口座へ振込む方法を考えています。
  2. 離婚慰謝料、教育費を含め全て一括で請求したいのですが、可能でしょうか。また慰謝料はどのくらいの金額が見込めますか。

ご主人から合意が得られた場合は実現可能

財産分与について

財産分与は、婚姻期間中に夫婦で協力して形成した財産(夫婦共有財産)を離婚時に分割するものです。なお、分割割合は、夫婦間に多少の収入差があったとしても、2分の1ずつとなることが一般的です。

 

ご質問内容からすると、夫婦共有財産として、少なくとも自宅不動産(残ローンを差し引いた評価額1300万円)と預貯金があるようです。自宅を取得したことにより、Kさんの最終的な取り分が夫婦共有財産の2分の1を超過する場合には、理論上、当該超過分について、ご主人に代償金を支払うべきということになります。

 

したがいまして、「Kさんが持ち家を取得した際、夫から支払わなければならない現金を預かり、ローンの返済に充てる」ことは、一般的な財産分与の方法とは異なるものであり、家庭裁判所での審判や判決では認められにくいと思われます。

 

もっとも、審判や判決が下される前に、当事者間で話し合いを行い、合意ができれば実現は可能です。

 

ただし、その場合でも、預り金の取り扱いやローンの返済方法等の細かい点も含めて、合意書や調停調書にしっかりと取り決めておくことが重要となります。

 

養育費について

養育費の一括払いは、原則として認められません。もっとも、ご主人との間で合意ができれば可能です。

 

離婚慰謝料について

ご主人の不貞行為により婚姻関係が破綻したのですから、100万円から300万円程度の離婚慰謝料を請求できる可能性があります。

 

また、不貞相手が、ご主人がKさんと婚姻関係にあることについて故意又は過失があった場合には、当該不貞相手に対しても、不貞行為自体の慰謝料100万円前後(離婚慰謝料ではありません(後述))をご主人との連帯責任として請求することが可能となります。

 

他方、不貞相手に離婚慰謝料を請求することは、判例上かなり厳格な要件が求められており、一般的には難しいことが多いです。

次ページ残ローンのある不動産の財産分与は“争いが生じやすい”

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