ウクライナ侵攻によって、より独裁者としての色を強めた現ロシア大統領のウラジーミル・ウラジーミロビッチ・プーチン。彼が非公式の打ち合わせで「自身を強く非難するジャーナリスト」に対してみせた立ち居振る舞いについて、そのジャーナリストによる証言を、元外交官で作家の佐藤優氏が紹介します。

野卑な罵倒語を口にする姿は、まるでマフィアの親分

彼が使用した「ムーダク」(著者註:正しくは「ムダーク」)という言葉は、ロシア人が完全に不適任と見なした人間をけなすときに表現する言葉の一つである。

 

相手を威圧するために自分を大きく見せるようなプーチン流の口の悪い野卑な話し方は、かつて自分がKGB要員のリクルーターのつもりでいた人間としてはひどい失言だった。彼の話し方は、私そして会見にとって穏当なものではなかった〉

※ マーシャ・ゲッセン/松宮克昌訳『そいつを黙らせろ──プーチンの極秘指令』柏書房、2013年

 

ここでゲッセンが衝撃を受けた「мудак、ムダーク」という言葉は、「ケツの穴野郎」「クソ野郎」とかいう罵倒語だ。高等教育を受けた人間が、公の場でこういう言葉を使うことはない。

 

ゲッセンが伝えるプーチンの雰囲気は、限りなくマフィアの親分に近い。

 

 

佐藤 優
作家・元外務省主任分析官・同志社大学神学部客員教授

 

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※本記事は、佐藤優氏の著書『プーチンの野望』(潮新書)から一部を抜粋し、GGO編集部にて再編集したものです。

プーチンの野望

プーチンの野望

佐藤 優

潮出版社

ロシアとウクライナの歴史、宗教、地政学、さらには外務官僚時代、若き日のプーチンに出会った著者だからこそ論及できるプーチンの内在的論理から、ウクライナ戦争勃発の理由を読み解き、停戦への道筋を示す。 〈戦争の興奮…

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